きけな神恋はすみれの紫にゆふべの春の讃嘆(さんたん)のこゑ 病みませるうなじに繊(ほそ)きかひな捲きて熱にかわける御口(みくち)を吸はむ みぞれ降る日に開け放ち、 黒き小机、 生けたるは茶の花ひと枝(え)。 あるじなほ縁に立ち、 鋏刀(はさみ)あり、円座の上。 × 本(もと)をただせば痩我慢、 それを通したかたくな[#「かたくな」に傍点]が 仮に堅めた今日(けふ)の性(さが)。 沙の塔ぞと人云はん、 押せばくづるるわたしの我(が)。 × ボタンを押せばベルが鳴り、 取次を経て座に通る、 なんとかずかず手間が要る。 わたしの客はわたしなり、 逢ひたい時に側にゐる。