海潮音[r]
上田敏[r]
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遙に此書を滿州なる森鴎外氏に獻ず[r]
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大寺の香の煙はほそくとも、空にのぼりてあまぐもとなる、あまぐもとなる[r]
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獅子舞歌[r]
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海潮音序[r]
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卷中收むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亞に三人、英吉利に四人、獨逸に七人、プロヴァンスに一人、而して佛蘭西には十四人の多きに達し、曩の高踏派と今の象徴派とに屬する者其大部を占む。[r][UpdateSavePoint]
高踏派の莊麗體を譯すに當りて、多く所謂七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の幽婉體を飜するに多少の變格を敢てしたるは、其各の原調に適合せしめむが爲なり。[r][UpdateSavePoint]
詩に象徴を用ゐること、必らずしも近代の創意に非らず、これ或は山嶽と共に舊るきものならむ。然れども之を作詩の中心とし本義として故らに標榜する所あるは、蓋し二十年來の佛蘭西新詩を以て嚆矢とす。近代の佛詩は高踏派の名篇に於て發展の極に達し、彫心鏤骨の技巧實に燦爛の美を恣にす、今茲に一轉機を生ぜずむばあらざるなり。マラルメ、ヴェルレエヌの名家之に觀る所ありて、清新の機運を促成し、終に象徴を唱へ、自由詩形を説けり。譯者は今の日本詩壇に對て、專ら之に則れと云ふ者にあらず、素性の然らしむる所か、譯者の同情は寧ろ高踏派の上に在り、はたまたダンヌンチオ、オオバネルの詩に注げり。然れども又徒らに晦澁と奇怪とを以て象徴派を攻むる者に同ぜず。幽婉奇聳の新聲、今人胸奧の絃に觸るゝにあらずや。坦々たる古道の盡くるあたり、荊棘路を塞ぎたる原野に對て、之が開拓を勤むる勇猛の徒を貶す者は怯に非らずむば惰なり。[r][UpdateSavePoint]
譯者甞て十年の昔、白耳義文學を紹介し、稍後れて、佛蘭西詩壇の新聲、特にヴェルレエヌ、ヴェルハアレン、ロオデンバッハ、マラルメの事を説きし時、如上文人の作なほ未だ西歐の評壇に於ても今日の聲譽を博する事能はざりしが、爾來世運の轉移と共に清新の詩文を解する者、漸く數を増し勢を加へ、マアテルリンクの如きは、全歐思想界の一方に覇を稱するに至れり。人心觀想の默移實に驚くべき哉。近體新聲の耳目に嫺はざるを以て、倉皇視聽を掩はむとする人々よ、詩天の星の宿は徙りぬ、心せよ。[r][UpdateSavePoint]
日本詩壇に於ける象徴詩の傳來、日なほ淺く、作未だ多からざるに當て、既に早く評壇の一隅に囁々の語を爲す者ありと聞く。象徴派の詩人を目して徒らに神經の鋭きに傲る者なりと非議する評家よ、卿等の神經こそ寧ろ過敏の徴候を呈したらずや。未だ新聲の美を味ひ功を收めざるに先ちて、早く其弊竇に戰慄するものは誰ぞ。[r][UpdateSavePoint]
歐洲の評壇亦今に保守の論を唱ふる者無きにあらず。佛蘭西のブリュンチエル等の如きこれなり。譯者は藝術に對する態度と趣味とに於て、此偏想家と頗る説を異にしたれば、其云ふ所に一々首肯する能はざれど、佛蘭西詩壇一部の極端派を制馭する消極の評論としては、稍耳を傾く可きもの無しとせざるなり。而してヤスナヤ・ポリヤナの老伯が近代文明呪詛の聲として、其一端をかの「藝術論」に露はしたるに至りては、全く贊同の意を呈する能はざるなり。トルストイ伯の人格は譯者の欽仰措かざる者なりと雖、其人生觀に就ては、根本に於て既に譯者と見を異にす。抑も伯が藝術論はかの世界觀の一片に過ぎず。近代新聲の評隲に就て、非常なる見解の相違ある素より怪む可きにあらず。日本の評家等が僅に「藝術論」の一部を抽讀して、象徴派の貶斥に一大聲援を得たる如き心地あるは、毫も清新體の詩人に打撃を與ふる能はざるのみか、却て老伯の議論を誤解したる者なりと謂ふ可し。人生觀の根本問題に於て、伯と説を異にしながら、其論理上必須の結果たる藝術觀のみに就て贊意を表さむと試むるも難い哉。[r][UpdateSavePoint]
象徴の用は、之が助を藉りて詩人の觀想に類似したる一の心状を讀者に與ふるに在りて、必らずしも同一の概念を傳へむと勉むるに非ず。されば靜に象徴詩を味ふ者は、自己の感興に應じて、詩人も未だ説き及ぼさゞる言語道斷の妙趣を翫賞し得可し。故に一篇の詩に對する解釋は人各或は見を異にすべく、要は只類似の心状を喚起するに在りとす。例へば本書九〇頁「鷺の歌」を誦するに當て讀者は種々の解釋を試むべき自由を有す。此詩を廣く人生に擬して解せむか、曰く、凡俗の大衆は眼低し。法利賽
譯述の法に就ては譯者自ら語るを好まず。只譯詩の覺悟に關して、ロセッティが伊太利古詩飜譯の序に述べたると同一の見を持したりと告白す。異邦の詩文の美を移植せむとする者は、既に成語に富みたる自國詩文の技巧の爲め、清新の趣味を犧牲にする事あるべからず。而も彼所謂逐語譯は必らずしも忠實譯にあらず。されば「東行西行雲眇々。二月三月日遲々」を「とざまにゆき、かうざまに、くもはるばる。きさらぎ、やよひ、ひうらうら」と訓み給ひけむ神託もさることながら、大江朝綱が二條の家に物張の尼が「月によつて長安百尺の樓に上る」と詠じたる例に從ひたる所多し。[r][UpdateSavePoint]
明治三十八年初秋[r]
上田敏[r]
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ガブリエレ・ダンヌンチオ[r]
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燕の歌[r]
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彌生
海のあなたの靜けき國の[r]
便
春のはつ花、にほひを尋
あゝ、よろこびのつばくらめ。[r]
黒と白との染分縞
春の心の舞姿。[r]
[r]
彌生來にけり、如月
風もろともに、けふ去りぬ。[r]
栗鼠
綾子
春の川瀬をかちわたり、[r]
しなだるゝ枝の森わけて、[r]
舞ひつ、歌ひつ、足速
戀慕の人ぞむれ遊ぶ。[r]
岡に摘む花、菫ぐさ、[r]
草は香りぬ、君ゆゑに、[r]
素足の「春」の君ゆゑに。[r]
[r]
けふは野山も新妻
わだつみの波は輝く阿古屋珠
あれ、藪陰
あれ、なか空
つれなき風は吹きすぎて、[r]
舊巣
あゝ、南國
尾羽
「春」のひくおと、「春」の手の。[r]
[r]
あゝ、よろこびの美鳥
黒と白との水干
舞の足どり教へよと、[r]
しばし招がむ、つばくらめ。[r]
たぐひもあらぬ麗人
イソルダ姫の物語、[r]
飾り畫
しばしはあれよ、つばくらめ。[r]
かづけの花環こゝにあり、[r]
ひとやにはあらぬ花籠を[r]
給ふあえかの姫君は、[r]
フランチェスカの前ならで、[r]
まことは「春」のめがみ大神
[r]
[r][UpdateSavePoint]
聲曲
[r]
われはきく、よもすがら、わが胸の上
吾は聽く、夜の靜寂
常にかつ近み、かつ遠み、絶間
夜もすがら、君眠る時、君眠る時、われひとりして。[r]
[r]
[r]
ルコント・ドゥ・リイル[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
眞晝
[r]
「夏」の帝
白銀色
寂
炎
[r]
眼路
牧
野末遙けき森陰は、裾の界
不動
[r]
唯熟したる麥の田は黄金海
かぎりも波の搖蕩
聖
畏れ憚
[r]
また、邂逅
囁聲
覺めたる波の搖動
起きてまた伏す行末は沙
[r]
程遠からぬ青草の牧
肉置
妙
終
[r]
人よ、爾の心中を、喜怒哀樂に亂されて、[r]
光明道
のがれよ、こゝに萬物
ものみな、こゝに命無く、悦
[r]
されど涙
流轉
現身
眼
[r]
來れ、此地の天日
親み難き炎上
かくての後は、濁世
物の七
[r]
[r][UpdateSavePoint]
大饑餓[r]
[r]
夢圓
夜天
紫摩黄金
奇
[r]
無邊の天
憂愁の國、寂光土
墳塋
大荒原
[r]
青空
大光明の遍照
うつらうつらの夢枕、煩惱界の諸苦患
こゝに通はぬその夢の限も知らず大いなる。[r]
[r]
かゝりし程に、粗膚
飢にや狂ふ、おどろしき深海底
あふさきるさの徘徊
南蠻鐵
[r]
素
參
無限
北斗星
[r]
唯、ひとすぢに、生肉
常の心は、朱
影暗うして水重き潮の底の荒原
曇れる眼
[r]
こゝ虚
生きたる物も、死したるも、此空漠
音信
眞黒
[r]
行きね妖怪
醜惡
心安かれ、鱶
又さはいへど、汝
[r]
聖
かげ深海
それ人間も、鱶鮫
見よ、死の神の前にして、二つながらに罪ぞ無き。[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
象[r]
[r]
沙漠は丹
音
不動のうねり、大
人住むあたり銅
[r]
命も音も絶えて無し。餌
百里の遠き洞窟
また岩清水迸
豹
[r]
大日輪の走
羽掻
たまたま見たり、蟒蛇
とぐろの綱を動せば、鱗
[r]
一天
物
皺
うまれの里の野を捨てゝ、大沙原
[r]
地平のあたり、一團の褐色
みれば砂塵
ゆくてのさきの障碍
蹈鞴
[r]
導
「時」が噛みてし刻みてし、老樹
巨巖の如き大頭
何の苦も無く自
[r]
歩
塵にまみれし群象
沙
雲突く修驗山伏
[r]
耳は扇とかざしたり、鼻は象牙に介
半眼
息のほてりや、汗のほけ、烟となつて散亂
幾千萬の昆蟲が、うなりて集
[r]
饑渇
黒皺皮
かの故里
眼路
[r]
また忍ぶかな、高山
巨大の河馬
あるは月夜
水かふ岸の葦蘆
[r]
かゝる勇猛沈勇の心をきめて、さすかたや、[r]
涯
大沙原
身動
[r]
[r]
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[r]
ルコント・ドゥ・リイルの出づるや、哲學に基ける厭世觀は佛蘭西の詩文に致死の棺衣
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*[r]
[r]
讀者の眼頭に彷彿として展開するものは、豪壯悲慘なる北歐思想、明暢清朗なる希臘田野の夢、または銀光の朧々たること、其聖十字架を思はしむる基督教法の冥想、特に印度大幻夢涅槃の妙説なりけり。[r]
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*[r]
[r]
黒檀の森茂げき此世の涯の老國より來て、彼は長久の座を吾等の傍に占めつ、教へて曰く、「寂滅爲樂」。[r]
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*[r]
[r]
幾度と無く繰返したる大智識の教話によりて、悲哀は分類結晶して、頗る靜寧の姿を得たるも、なほ、をりふしは憤怒の激發に迅雷の轟然たるを聞く。是に於てか電火ひらめき、萬雷はためき、人類に對する痛罵、宛も藥綫の爆發する如く、所謂「不感無覺」の墻壁を破り了ぬ。[r]
[r][UpdateSavePoint]
*[r]
[r]
自家の理論を詩文に發表して、シォペンハウエルの辨證したる佛法の教理を開陳したるは、此詩人の特色ならむ。儕輩の詩人皆多少憂愁の思想を具へたれど、厭世觀の理義彼に於ける如く整然たるは罕
エミイル・ヴェルハアレン[r]
[r]
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[r]
[r]
[r]
ホセ・マリヤ・デ・エレディヤ[r]
[r]
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珊瑚礁[r]
[r]
波の底にも照る日影、神寂
照しの光、亞比西尼亞
ぬれにぞぬれし深海
輝きにほふ蟲のから、命にみつる珠
[r]
沃度
濡髮長き海藻
臙脂
薄色ねびしみどり石、蝕
[r]
鱗
枝より枝を横ざまに、何を尋
光透入
[r]
忽ち紅火
藍を湛
水
[r]
[r][UpdateSavePoint]
床[r]
[r]
さゝらがた錦を張るも、荒妙
悲しさは墳塋
人生れ、人いの眠り、つま戀ふる、凡べてこゝなり、[r]
をさな兒
[r]
葬事
淨
皆こゝに物は始まり、皆こゝに事は終らむ、[r]
産屋
[r]
天離
紫摩金
鈍色
[r]
獨
みおやらの生れし床に、みおやらの失
物古りし親のゆづりの大床
[r]
[r][UpdateSavePoint]
出征[r]
[r]
高山
身こそたゆまね、憂愁に思は倦
モゲルがた、パロスの港、船出して、[r]
雄誥
[r]
チパンゴに在りと傳ふる鑛山
紫摩黄金
船の帆も撓
西の世界の不思議なる遠荒磯
[r]
ゆふべゆふべは壯大の旦
しらぬ火や、熱帶海
こがね幻
[r]
白妙の帆船の舳
振放
蒼海
[r]
[r]
シュリ・プリュドン[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
夢[r]
[r]
夢のうちに、農人
けふよりは、なを養はじ、土を墾
機織
石造
[r]
かくて孤
この咒詛
いと深き憐愍
眼前
[r]
ほのぼのとあけゆく光、疑ひて眼
雄々しかる田つくり男、梯立
はたものの踏木
[r]
世の幸
誰かまた思ひあがりて、同胞
其日より吾はなべての世の人を愛しそめけり。[r]
[r]
[r]
シャルル・ボドレエル[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
信天翁
[r]
波路遙けき徒然
八重の潮路の海鳥
楫
奧津
[r]
たゞ甲板
この青雲
あはれ、眞白き双翼
今は身の仇、益
[r]
天
昨日
煙管
しどろの足を摸
[r]
雲居の君のこのさまよ、世の歌人
暴風雨
地
太しき双
[r]
[r][UpdateSavePoint]
薄暮
[r]
時こそ今は水枝
花は薫じて追風に、不斷の香
匂も音も夕空に、とうとうたらり、とうたらり、[r]
ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦みたる眩暈
[r]
花は薫じて追風に、不斷の香の爐に似たり。[r]
痍
ワルツの舞の哀れさよ、疲れ倦みたる眩暈
神輿
[r]
痍
闇の涅槃
神輿
日や落入りて溺るゝは、凝
[r]
闇の涅槃
光の過去のあとかたを尋
日や落入りて溺るゝは、凝
君が名殘のたゞ在るは、ひかり輝く聖體盒
[r]
[r][UpdateSavePoint]
破鐘
[r]
悲
燃えあがり、燃え盡きにたる柴の火に耳傾けて、[r]
夜霧だつ闇夜の空の寺の鐘、きゝつゝあれば、[r]
過
[r]
喉太
老
何時
陣營の歩哨にたてる老兵の姿に似たり。[r]
[r]
そも、われは心破れぬ。鬱憂のすさびごゝちに、[r]
寒空
覺束な、音
[r]
哀れなる臨終
小山なす屍
棄てられし負傷
[r]
[r][UpdateSavePoint]
人と海[r]
[r]
こゝろ自由
海こそ人の鏡なれ。灘の大波はてしなく、[r]
水や天
底ひも知らぬ深海
[r]
さればぞ人
眼
心もともに、はためきて、潮騷
寄せてはかへす波の音
[r]
海も爾
人よ、爾
海よ、爾
かくも妬
[r]
かくて劫初
慈悲悔恨の弛
げにも非命と殺戮
噫、永遠のすまうどよ、噫、怨念
[r]
[r][UpdateSavePoint]
梟[r]
[r]
黒葉水松
並んでとまる梟
昔の神をいきうつし、[r]
赤眼
[r]
體
なにを思ひに暮がたの[r]
傾く日脚
大凶時
[r]
鳥のふりみて達人は[r]
道の悟や開くらむ、[r]
世に忌々
[r]
色相界
諸人
居
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
現代の悲哀はボドレエルの詩に異常の發展を遂げたり。人或は一見して云はむ、これ僅に悲哀の名を變じて欝悶と改めしのみと、而も再考して終に其全く變質したるを曉
[r][UpdateSavePoint]
*[r]
[r]
先人の多くは、惱心地定かならぬまゝに、自然に對する心中の愁訴を、自然其物に捧げて、尋常の失意に泣けども、ボドレエルは然らず。彼は都府の子なり。乃ち巴里叫喊地獄の詩人として胸奧の悲を述べ、人に叛き世に抗する數奇の放浪兒が爲に、大聲を假したり。其心、夜に似て暗憺、いひしらず、汚れにたれど、また一種の美、たとへば、濁江の底なる眼、哀憐悔恨の凄光を放つが如きもの無きにしもあらず。エミイル・ヴェルハアレン[r]
[r]
ボドレエル氏よ、君は藝術の天にたぐひなき凄慘の光を與へぬ。即ち未だ曾て無き一の戰慄を創成したり。ヴィクトル・ユウゴオ[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
ポオル・ヴェルレエヌ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
譬喩
[r]
主は讚
今の世にありて、われを信徒となし給ひぬ。[r]
願はくは吾に與へよ、力と沈勇とを。[r]
いつまでも永く狗子
[r]
生贄
何の苦もなくて、牧草
羊毛のほかに、その刻
惜まずして、主に奉る如くわれもなさむ。[r]
[r]
また魚とならば、御子
驢馬ともなりては、主を乘せまつりし昔思ひ、[r]
はた、わが肉より穰
[r]
げに末つ世の反抗表裏の日にありては[r]
人間よりも、畜生の身ぞ信深くて[r]
心素直
[r]
[r][UpdateSavePoint]
よくみるゆめ[r]
[r]
常によく見る夢乍ら、奇
曾ても知らぬ女
夢見る度のいつもいつも、同じと見れば、異りて、[r]
また異
[r]
わが心根を悟りてしかの女
噫
蒼ざめ顏のわが額、しとゞの汗を拭ひ去り、[r]
涼しくなさむ術
[r]
栗色髮のひとなるか、赤髮
名をだに知
うつせみの世を疾
[r]
つくづく見入る眼差
澄みて、離れて、落居たる其音聲
無言
[r]
[r][UpdateSavePoint]
落葉
[r]
秋の日の[r]
ヴィオロンの[r]
ためいきの[r]
身にしみて[r]
ひたぶるに[r]
うら悲し。[r]
[r]
鐘のおとに[r]
胸ふたぎ[r]
色かへて[r]
涙ぐむ[r]
過ぎし日の[r]
おもひでや。[r]
[r]
げにわれは[r]
うらぶれて[r]
こゝかしこ[r]
さだめなく[r]
とび散らふ[r]
落葉
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
佛蘭西の詩はユウゴオに繪畫の色を帶び、ルコント・ドゥ・リイルに彫塑の形を具へ、ヴェルレエヌに至りて音樂の聲を傳へ、而して又更に陰影の匂なつかしきを捉へむとす。譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
ヴィクトル・ユウゴオ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
良心[r]
[r]
革衣
髮おどろ色蒼ざめて、降る雨を、[r]
エホバよりカインは離
夕闇の落つるがまゝに愁然
大原
妻は倦み兒等も疲れて諸聲
「地
山陰
烏羽玉の暗夜
廣大の天眼
物陰の奧より、ひしと、みいりたるに、[r]
わなゝきて「未だ近し」と叫びつつ、[r]
倦みし妻、眠れる兒等を促して、[r]
もくねんと、ゆくへも知らに逃
かゝなべて、日には三十日
色變へて、風の音にもをのゝきぬ。[r]
やらはれの、伏眼
眠なく休
後の世のアシュルの國、海のほとり、[r]
荒磯
とゞまらむ。この世のはてに今ぞ來
いざ」と、いへば、陰雲暗きめぢのあなた、[r]
いつも、いつも、天眼
おそれみに身も世もあらず、戰
「隱せよ」と叫ぶ一聲
猛き親を口に指あて眺めたり。[r]
沙漠の地、毛織の幕に住居する[r]
後の世のうからのみおやヤバルにぞ[r]
「このむたに幕ひろげよ」と命ずれば、[r]
ひるがへる布の高壁めぐらして[r]
鉛もて地に固むるに、金髮の[r]
孫むすめ曙のチラは語りぬ。[r]
「かくすれば、はや何も見給ふまじ」と。[r]
「否なほも眼
角
ゆきめぐる民草
「おのれ今固き守や設けむ」と。[r]
銅
そがなかに隱しぬれども、如何
「いつも、いつも眼
「恐しき塔をめぐらし、近よりの[r]
難きやうにすべし。砦
その邑
鍛冶の祖
宏大の無邊
同胞
野邊かけて狩暮
旅人の眼
星天
花崗石
石にくみ、城
塔影は野を暗うして、その壁ぞ[r]
山のごと厚くなりける。工成りて[r]
戸を固め、壁建終り、大城戸
刻める文字を眺むれば「このうちに[r]
神はゆめ入る可からず」と、ゑりにたり。[r]
さて親は石殿
憂愁のやつれ姿ぞいぢらしき。[r]
「おほぢ君、眼は消えしや」と、チラの問へば、[r]
「否、そこに今もなほ在り」と、カインいふ。[r]
「墳塋
地の下にわれは住
われを見じ、吾
さてこゝに坑
たゞひとり闇穴道
物陰の座にうちかくる、ひたおもて、[r]
地下
天眼
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
ユウゴオの趣味は典雅ならず、性情奔放にして狂ひょう激浪の如くなれど、温藉靜冽の氣自から其詩を貫きたり。對聯比照に富み、光彩陸離たる形容の文辭を疊用して、燦爛たる一家の詩風を作りぬ。譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
[r]
[r]
フランソア・コペエ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
禮拜[r]
[r]
さても千八百九年、サラゴサの戰
われ時に軍曹なりき。此日慘憺を極む。[r]
街
閉ぢたる戸毎に不順の色見え、[r]
鐵火、窓より降りしきれば、[r]
「憎つくき僧徒の振舞」と[r]
かたみに低く罵
明方
眼は硝煙に血走りて、[r]
舌には苦がき紙筒
噛み切る口の黒くとも、[r]
奮鬪の氣はいや益しに、[r]
勢
黒衣
狹き小路
とざま、かうざま顧みがち、[r]
われ軍曹の任
精兵從へ推しゆく折りしも、[r]
忽然
鑛爐
虐殺せらるゝ婦女の聲、[r]
遙かには轟々の音とよもして、[r]
歩毎
屈
出でくる時は銃劍の[r]
鮮血淋漓たる兵が、[r]
血紅
壁に十字を書置くは、[r]
敵潛めるを示すなり。[r]
鼓うたせず、足重く、[r]
將校たちは色曇り、[r]
さすが、手練
落居ぬけはひに、寄添ひて、[r]
新兵もどきの胸さわぎ。[r]
[r]
忽ち、とある曲角
援兵と呼ぶ佛語の一聲、[r]
それ、戰友の危急ぞと、[r]
驅けつけ見れば、きたなしや、[r]
日常
精舍
たゞ僧兵の二十人、[r]
圓頂
眞白の十字胸につけ、[r]
靴無き足の凜々しさよ、[r]
血染の腕
大十字架にて、うちかゝる。[r]
慘絶、壯絶。それと一齊射撃にて、[r]
やがては掃蕩したりしが、[r]
冷然として、殘忍に、軍は倦みたり。[r]
皆心中に疾
とかくに殺戮したれども、[r]
醜行已
密雲漸く散ずれば、[r]
積みかさなれる屍より[r]
階
そのうしろ樓門聳ゆ、巍然として鬱たり。[r]
[r]
燈明くらがりに金色
香爐かぐはしく、靜寂の香
殿上、奧深く、神壇に對
歌樓
蕭
噫けふもなほ俤
モオル廻廊の古院、[r]
黒衣僧兵のかばね、[r]
天日、石だゝみを照らして、[r]
紅流に烟
朧々
立つや老僧。[r]
神壇龕
唖然としてすくみしわれらのうつけ姿。[r]
げにや當年の己は[r]
空恐ろしくも信心無く、[r]
或日精舍
負けじ心の意氣張づよく[r]
神壇近き御燈
煙草つけたる亂行者
上反鬢
一歩も讓らぬ氣象のわれも、[r]
たゞ此僧の髮白く白く[r]
神寂びたるに畏みぬ。[r]
[r]
「打て」と士官は號令す。[r]
[r]
誰有
僧は確に聞きたらむも、[r]
さあらぬ素振
聖水大盤
ミサ禮拜
司僧
腕
衆皆一歩たじろきぬ。[r]
僧はすこしもふるへずに[r]
信徒の前に立てるやう、[r]
妙音澱
「歸命頂禮」の歌、常に異らず、[r]
聲もほがらに、[r][UpdateSavePoint]
「全能の神、爾等を憐み給ふ。」[r]
[r]
またもや、一聲あらゝかに[r]
「うて」と士官の號令に[r]
進みいでたる一卒は[r]
隊中有名
銃
老僧、色は蒼
沈勇の眼
祈りつゞけぬ、[r][UpdateSavePoint]
「父と子と。」[r]
[r]
續いて更に一發は、[r]
狂氣のさたか、血迷
とかくに業
僧は隻腕
明いたる手にて祝福し、[r]
黄金盤
虚空
音聲
げきたる堂上とほりよく、[r]
瞑目
「聖靈と。」[r]
[r]
かくて仆
[r]
盤
事に慣れたる老兵も、[r]
胸に鬼胎
足に兵器を投げ棄てて[r]
われとも知らず膝つきぬ、[r]
醜行のまのあたり、[r]
殉教僧のまのあたり。[r]
[r]
聊爾
うしろに笑ふ、わが隊の鼓手。[r]
[r]
[r]
ヰルヘルム・アレント[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
わすれなぐさ[r]
[r]
ながれのきしのひともとは、[r]
みそらのいろのみづあさぎ、[r]
なみ、ことごとく、くちづけし[r]
はた、ことごとく、わすれゆく[r]
[r]
[r]
[r]
[r]
カアル・ブッセ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
山のあなた[r]
[r]
山のあなたの空遠く[r]
「幸
噫、われひとゝ尋
涙さしぐみかへりきぬ。[r]
山のあなたになほ遠く[r]
「幸
[r]
[r]
[r]
[r]
パウル・バルシュ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
春[r]
[r]
森は今、花さきみだれ[r]
艶
神よ、擁護
あまりに幸
[r]
やがてぞ花は散りしぼみ、[r]
艶
神よ擁護
あまりにつらき災
[r]
[r]
オイゲン・クロアサン[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
秋[r]
[r]
けふつくづくと眺むれば、[r]
悲
たれもつらくはあたらぬを、[r]
なぜに心の悲める。[r]
[r]
秋風
葉なみふるひて地にしきぬ。[r]
きみが心のわかき夢[r]
秋の葉となり落ちにけむ。[r]
[r]
[r]
[r]
[r]
ヘリベルタ・フォン・ポシンゲル[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
わかれ[r]
[r]
ふたりを「時
晝は事なくうちすぎぬ。[r]
よろこびもなく悲まず、[r]
はたたれをかも怨むべき。[r]
[r]
されど夕闇おちくれて、[r]
星の光のみゆるとき、[r]
病の床のちごのやう、[r]
心かすかにうめきいづ。[r]
[r]
[r]
[r]
[r]
テオドル・ストルム[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
水無月[r]
[r]
子守歌風に浮びて、[r]
暖かに日は照りわたり、[r]
田の麥は足穗
茨には紅き果熟し、[r]
野面
いかにおもふ、わかきをみなよ。[r]
[r]
[r]
[r]
[r]
ハインリッヒ・ハイネ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
花のをとめ[r]
[r]
妙
つくづくみれば、そゞろ、あはれ、[r]
かしらや撫でゝ、花の身の[r]
いつまでも、かくは清らなれと、[r]
いつまでも、かくは妙
いのらまし、花のわがめぐしご。[r]
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
ルビンスタインのめでたき樂譜に合せて、ハイネの名歌を譯したり。原の意を汲みて餘さじと、つとめ、はた又、句讀停音すべて樂譜の示すところに從ひぬ。譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
[r]
[r]
ロバアト・ブラウニング[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
瞻望
[r]
怕
おもわに狹霧
深雪
すゑの近さも。[r]
夜
敵の屯
現身
猛
それ、旅は果て、峯は盡きて、[r][UpdateSavePoint]
障礙
唯、すゑの譽
なほひと戰
戰
終
なまじひに眼
這
否、殘
いにしへの猛者
矢表
貢
そも勇者には、忽然
闇
四大
ほそりゆき、雜
變化
そのとき光明
あはれ、心の心とや、抱
そのほかは神のまにまに。[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
出現[r]
[r]
苔むしろ、飢ゑたる岸も[r][UpdateSavePoint]
春來れば、[r]
つと走る光、そらいろ、[r][UpdateSavePoint]
菫咲く。[r]
[r]
村雲
こゝかしこ、[r]
やれやれて影はさやけし、[r][UpdateSavePoint]
ひとつ星。[r]
[r]
うつし世の命を耻
めぐらせど、[r]
こぼれいづる神のゑまひか、[r][UpdateSavePoint]
君がおも。[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
岩陰に[r]
[r][UpdateSavePoint]
一 [r]
[r]
嗚呼、物
親
延
悦
さて欹
和毛
[r][UpdateSavePoint]
二 [r]
[r]
この教こそ神
翁
愛を捧げて價値
愛は完
思
なれ自らを地に捧げ、酬
[r]
[r][UpdateSavePoint]
春の朝[r]
[r]
時は春、[r]
日は朝
朝
片岡
揚雲雀
蝸牛
神、そらに知
すべて世は事も無
[r]
[r][UpdateSavePoint]
至上善[r]
[r]
蜜蜂の嚢
寶玉の底に光れる鑛山
阿古屋貝
香
玉
珠
天地
をとめごの清きくちづけ。[r]
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
ブラウニングの樂天説は、既に二十歳の作「ポオリイン」に顯れ、「ピパ」の歌、「神、そらにしろしめす、すべて世は事も無し」といふ句に綜合せられたれど、一生の述作皆人間終極の幸福を豫言する點に於て一致し「アソランドオ」絶筆の結句に至るまで、彼は有神論、靈魂不滅説に信を失はざりき。此詩人の宗教は基督教を元としたる「愛」の信仰にして、尋常宗門の繩墨を脱し、教外の諸法に對しては極めて宏量なる態度を持せり。神を信じ、其愛と其力とを信じ、之を信仰の基として、人間恩愛の神聖を認め、精進の理想を妄なりとせず、藝術科學の大法を疑はず、又人心に善惡の奮鬪爭鬩あるを、却て進歩の動機なりと思惟せり。而してあらゆる宗教の教義には重を措かず、たゞ基督の出現を以て説明すべからざる一の神祕となせるのみ。曰く、宗教にして、若し、萬世不易の形を取り、萬人の爲め、豫め、劃然として具へられたらむには、精神界の進歩は直に止りて、厭ふべき凝滯はやがて來らむ。人間の信仰は定かならぬこそをかしけれ、教法に完了といふ義ある可からずと。されば信教の自由を説きて、寛容の精神を述べたるもの、「聖十字架祭」の如きあり。殊に晩年に莅みて、教法の形式、制限を脱却すること益著るく、全人類に亘れる博愛同情の精神愈盛なりしかど、一生の確信は終始毫も渝ること無かりき。人心の憧がれ向ふ高大の理想は神の愛なりといふ中心思想を基として、幾多の傑作あり。「クレオン」には、藝術美に倦みたる希臘詩人の永生に對する熱望の悲音を聞くべく、「ソオル」には、事業の永續に不老不死の影ばかりなるを喜ぶ事の果敢なき夢なるを説きて、更に個人の不滅を斷言す。「亞剌比亞の醫師カアシッシュの不思議なる醫術上の經驗」といふ尺牘體には、基督教の原始に遡りて、意外の側面に信仰の光明を窺ひ、「沙漠の臨終」には神の權化を目撃せし聖約翰の遺言を耳にし得べし。然れども是等の信仰は、盲目なる狂熱の獨斷にあらず、皆冷靜の理路を辿り、若しくは、精練、微を穿てる懷疑の坩堝を經たるものにして「監督ブルウグラムの護法論」「フェリシュタアの念想」等之を證す。之を綜ぶるに、ブラウニングの信仰は、精神の難關を凌ぎ、疑惑を排除して、光明の世界に達したるものにして永年の大信は世を終るまで動かざりき。「ラ、セイジヤス」の秀什、この想を述べて餘あり、又、千八百六十四年の詩集に收めたる「瞻望」の歌と、千八百八十九年の詩集「アソランドオ」の絶筆とは此詩人が宗教觀の根本思想を包含す。[r]
譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
[r]
[r]
ヰリアム・シェイクスピヤ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
花くらべ[r]
[r]
燕も來
大寒
風にもめげぬ凜々
またはジュノウのまぶたより、[r]
ヴィイナス神
なほ臈
菫の色のおぼつかな。[r]
照る日の神も仰ぎえで[r]
嫁
色
これも少女
それにひきかへ九輪草
編笠早百合
百合もいろいろあるなかに、[r]
鳶尾草
あゝ、今は無し、しよんがいな。[r]
[r]
[r]
[r]
[r]
クリスティナ・ロセッティ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
花の教[r]
[r]
心をとめて窺へば花自
朝露
「艶
刺
麥
「せめては紅
そばめられたる身なれども、[r]
驗
盛りさゝげたる盃ぞ。」[r]
この時、百合は追風に、[r]
「見よ、人、われは言葉なく[r]
法を説くなり。」[r]
みづからなせる葉陰より、[r]
聲もかすかに菫草
「人はあだなる香
われらの示す教
[r]
[r]
ダンテ・ゲブリエル・ロセッティ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
小曲[r]
[r]
小曲は刹那をとむる銘文
過ぎにしも過ぎせぬ過ぎしひと時に、劫
捧げたる願文
祥
例
「日
頭
照りわたるきらびの榮
[r]
小曲は古泉
うらがねをいづれの力しろすとも。あるは「命
威力あるもとめの貢
「戀」の供奉
三瀬川
「死」に拂
[r]
[r][UpdateSavePoint]
戀の玉座[r]
[r]
心のよしと定
「眞
「譽
飛火
去
また後朝
黄金
「死出
[r]
「戀
逢瀬
夢も通はぬ遠
設けられたり。たとへそれ、「眞
夙
そがためによく、「若
[r]
[r][UpdateSavePoint]
春の貢[r]
[r]
草うるはしき岸の上
われは横
うら若草のはつ花も、はな白
みぐしの間
去年
けふのこの日や「春」の足、半
葉もなき花の白妙
「春」住む庭の四阿屋
[r]
されど卯月の日の光、けふぞ谷間に照りわたる。[r]
仰ぎて眼
水枝
温かき喉
契もかたきみやづかへ、戀の日なれや。冷かに[r]
つめたき人は永久
[r]
[r]
ダンテ・アリギエリ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
心も空に[r]
[r]
心も空に奪はれて物のあはれをしる人よ、[r]
今わが述ぶる言の葉の君の傍
心に思ひ給ふこと應
綾
[r]
さても星影きらゝかに、更け行く夜
ほとほと過ぎし折しもあれ、忽ち四方
「愛」の御姿
おしはかるだに、その性
[r]
御氣色
御手
あえかの君の寢姿
[r]
やをら動
さゝげ進むれば、かの君も恐
「愛」は乃
エミイル・ヴェルハアレン[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
鷺の歌[r]
[r]
ほのぐらき黄金
骨蓬
靜かなる鷺
徐
[r]
水の面
廣
天
羽ばたきの音
[r]
漁子
清らなる網をうてども、[r]
空
おとなひをゆめだにしらず。[r]
[r]
また知らず日に夜
溝
欝憂の網に待つもの[r]
久方
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
ボドレエルにほのめき、ヴェルレエヌに現はれたる詩風はこゝに至りて、終に象徴詩の新體を成したり。此「鷺の歌」以下、「嗟嘆」に至るまでの詩は多少皆象徴詩の風格を具ふ。[r]
譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
法
[r]
夕日の國は野も山も、その「平安
黝
萬物
物の象
[r]
時雨
見よ、一天
今こそ時は西山
日の金色
[r]
めぢの界
路に沿ひたる樫の樹
疎
鋤
[r]
木立
夕暮がたの悲を心に痛み歩むごと、[r]
また古
靈場詣
赤々
眠れる如くうつろひて、河添
噫
たとしへもなく靜かなる夕
[r]
瑠璃
進み近づく夕づとめ、ゆくてを照らす星辰は[r]
壇に捧ぐる御明
火こそみえけれ、其棹
[r]
[r][UpdateSavePoint]
水かひば[r]
[r]
ほらあなめきし落窪
夢も曇るか、こもり沼
腹しめすまで浸
まだら牡牛の水かひ場
[r]
坂くだりゆく牧
牛は練
時しもあれや、落日
嘯
[r]
日のかぐろひの寂寞
色も、にほひも、日のかげも、[r]
梢のしづく、夕榮
[r]
靄
夕闇とざす路
牛のうめきや、斷末魔。[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
畏怖
[r]
北
牧羊の翁
物憂き羊小舍
災殃
[r]
きし方
かぎりもなき、わが憂愁の邦
ゆく水のながれ薄荷莢※
いざよひの波も重きか、蜘手
[r]
肩に赤十字ある墨染
色もの凄き羊群も長棹
撻
[r]
疾風
今、わが頭
この夕
[r]
[r][UpdateSavePoint]
火宅[r]
[r]
嗚呼、爛壞
石は叫び烟
驕慢の圓葢
虚空は震ひ、勞役のたぎち沸くを、[r]
好むや、汝
あはれ旅人
悲みて夢うつら離
つゝむ火焔の帶の停車場
[r]
中空
[r]
なが胸を焦
この夕
千萬
聲黒
滿身すべて涜聖
意志あへなくも狂瀾にのまれをはんぬ。[r]
實
[r]
[r][UpdateSavePoint]
時鐘
[r]
舘
廊下のあなた、かたことと、かせ杖
「時
これや時鐘
[r]
硝子
花形模樣色褪
人の氣
これや時鐘
[r]
うち沈みたるねび聲に機
槌
細身
これや時鐘
[r]
角
冷
「時
これぞ時鐘
[r]
げに時鐘
あるは、木履
忠々
柱時鐘
[r]
[r]
ジォルジュ・ロオデンバッハ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
黄昏
[r]
夕暮がたの蕭
かはたれ刻
朧々
まづ天井の薄明
[r]
物靜かなる死の如く、微笑
曇れる鏡よく見れば、別
わが俤
影薄れゆき、色
[r]
壁に掲
框
人の記憶の圖
筆にゑがける風景の黒き雪かと降り積る。[r]
[r]
夕暮がたの蕭
沈める音
無言
花毛氈
[r]
いと徐ろに日の光
文目
沈默
匂
[r]
[r]
アンリ・ドゥ・レニエ[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
銘文
[r]
夕まぐれ、森の小路
夕まぐれ、風のもなかの逍遙
竈
定業
杖と佇
[r]
路
今更ながら、行きてむか。[r]
ゆふべゆふべの旅枕、[r]
水こえ、山こえ、夢こえて、[r]
つひのやどりはいづかたぞ。[r]
そは玄妙
わがまなこ、閉ぢ給ふ國、[r]
黄金
[r]
高樫
岩角に懈怠
きり石に足弱
歩む毎
きしかたの血潮
木枯
噫、われ倦みぬ。[r]
[r]
赤楊
道行く人は木葉
蒼
ぬかりみ迷ひ、群れゆけど、[r]
かたみに避けて、よそみがち。[r]
泥濘
憂愁
しろがねの、月代
たそがれに、この道のはてに澱
げにこゝは「鬱憂
鬼が栖
[r]
秦皮
微風
梢より梢にわたり、[r]
山蜜
金色
おのづから曲れる路は[r]
人さらになぞへを知らず、[r]
このさきの都のまちは[r]
まれびとを迎ふときゝぬ。[r]
いざ足をそこに止めむか。[r]
あなくやし、われはえゆかじ。[r]
他の生
「物影
わが「願
[r]
高樫
秦皮
日のかたや、都のかたや、水のかた、[r]
なべてゆかじな。[r]
噫、小路、[r]
血やにじむわが足のおと、[r]
死したりと思ひしそれも、[r]
あはれなり、もどり來たるか、[r]
地響
噫、小路、[r]
安逸
あだなりしわが世
高樫
聲
涙
[r]
あな、あはれ、きのふゆゑ、夕暮悲し、[r]
あな、あはれ、あすゆゑに、夕暮苦
あな、あはれ、身のゆゑに、夕暮重し。[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
愛の教[r]
[r]
いづれは「夜
をさな心も青春
今はた過ぎしけふの日や、[r]
從容
「冬篳篥
「秋」に響かふ「夏笛
(現世
物のあはれも、さいはひも。)[r]
あゝ、聞け、樂
「長月姫
なが「憂愁」と「歡樂」と[r]
語らふ聲の蕭
(熟
つはりて枝や撓
あはれ、微風
伊吹
誘
けふ木枯
口ふれあひて、熟睡
森蔭はまだ夏緑
夕まぐれ、空より落ちて、[r]
笛の音
「夏」の歌「秋」を搖
曙の美しからば、[r]
その晝は晴れわたるべく、[r]
心だに優しくあらば、[r]
身の夜も樂しかるらむ。[r]
ほゝゑみは口のさうび花、[r]
もつれ髮
眞清水
あゝ人よ、「愛」を命の法
星や照らさむ、なが足を、[r]
いづれは「夜
[r]
[r][UpdateSavePoint]
花冠[r]
[r]
途のつかれに項垂
默然
あらはれ浮ぶわが「想
命の朝のかしまだち、[r]
世路
今、たそがれのおとろへを[r]
透しみすれば、わなゝきて、[r]
顏背
思ひかねつゝ、またみるに、[r]
避けて、よそみて、うなだるゝ、[r]
あら、なつかしのわが「想」。[r]
[r]
げにこそ思へ、「時」の山、[r]
山越えいでゝ、さすかたや、[r]
「命」の里に、もとほりし[r]
なが足音もきのふかな。[r]
[r]
さて、いかにせし、盃に[r]
水やみちたる。としごろの[r]
願
あな空手
とこしへの渇
いと冷
ゆびさせる其足もとに、[r]
玉
[r]
つぎなる汝
こはすさまじき姿かな。[r]
そのかみの臈
嫋竹
鈍
みだれ髮
酒
蹈む足も醉ひさまだれぬ。[r]
あな忌々
[r]
さて、また次
みれば麗容
悲
指
双
饐
毒ながすなるくち蝮
掩
[r]
また「驕慢」に音
なが獲物
えび染
笏
又、なにものぞ、ほてりたる[r]
もろ手ひろげて「樂欲
らうがはしくも走りしは。[r]
醉狂
唇を噛み破られて、[r]
滿面
興
われを棄
あはれ、耻かし、このみざま、[r]
なれみづからをいかにする。[r]
[r]
しかはあれども、そがなかに、[r]
行
きぬもけがれと、はだか身に、[r]
出でゆきしより、けふまでも、[r]
あだし「想
道
[Font color=0x888888]||[/Font]あゝ行
法苑林
素足
なれは、ゐよりて、睦
靈華
うけつ、あたへつ、とりかはし[r]
双
飾るや、一
[r]
[r]
[Font color=0x444444][r]
[r]
ホセ・マリヤ・デ・エレディヤは金工の如くアンリ・ドゥ・レニエは織人の如し。また、譬喩を珠玉に求めむか、彼には青玉黄玉の光輝あり、此には乳光柔き蛋白石の影を浮べ、色に曇るを見る可し。譯者[r]
[r]
[/Font][r]
[r]
フランシス・ヴィエレ・グリフィン[r]
[r]
[r][UpdateSavePoint]
延びあくびせよ[r]
[r]
延
[Font color=0x888888]||[/Font]朝明
その臈
ねむり眼のうまし「命」や。[r]
起きいでよ、呼ばゝりて、過ぎ行く夢は[r]
大影
今にして躊躇
ゆく末に何
呼ばゝりて過ぎ行く夢は[r]
去りぬ神祕
[r]
いでたちの旅路の糧
歩
愛の一念ましぐらに、[r]
急げ、とく行け、[r]
呼ばゝりて、過ぎ行く夢は、[r]
夢は、また歸り來なくに。[r]
[r]
進めよ、走
畏をなすか、深淵
あな、急げ[Font color=0x888888]::[/Font]あゝ遲れたり。[r]
はしけやし「命」は愛に熟睡
栲綱
[Font color=0x888888]||[/Font]噫
いましめもあだなりけりな。[r]
ゆきずりに、夢は嘲る[Font color=0x888888]::[/Font][r]
[r]
さるからに、[r]
むしろ「命」に口觸れて[r]
これに生
無言
教をきかで、無邊
たちかへり、色よき「命」かき抱き、[r]
なれが刹那を長久
死の憂愁に歡樂に[r]
靈妙音
なが亡
はた、さゞめかむ、はた、なかむ、[r]
うれしの森に、春風や[r]
若緑、[r]
去年
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さればぞ歌へ微笑
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アルベエル・サマン[r]
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伴奏[r]
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白銀
水
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夕
夏の夜
水薫
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楫の音
夢をゆくわが船のあし。[r]
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船のあし、空をもゆくか、[r]
かたちなき水にうかびて。[r]
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ならべたるふたつの櫂
「徒然
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水の面
波の上
わが胸に吐息
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ジァン・モレアス[r]
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賦
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色に賞
唐棣花色
そよそよ風の手枕
つれなき北の木枯に、河氷るべきながめかな。[r]
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噫、歡樂よ、今さらに、なじかは、せめて爭はむ。[r]
知らずや、かゝる雄誥
ゆゑだもなくて、徒に痴
「悲哀」の琴
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*[r]
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ゆめ、な語りそ、人の世は悦
そは愚かしきあだ心、はたや卑しき痴
ことに歎くな、現世
益
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春日
磯濱
一切
豐
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*[r]
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死者のみ、ひとり吾に聽く、奧津城處
世の終
亡恩に榮華
收穫時
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ゆめ、自
あはれ侮蔑
たゞ、詩の神のくごの上、指をふるれば、わが樂
日毎
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*[r]
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長雨空の喪
冠
水のおもてに、遲花
照り添ふ匂なつかしき秋の日脚
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日よ何の意ぞ、夏花
はた禁
水や曇れ、空も鈍
想
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*[r]
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われは夢む、滄海
わだつみの灘
また思
青眼
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又思ふ、路の邊
栖
斧の柄
げに思ひいづ、鳴神
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*[r]
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この一切の無益
もの恐ろしく汚れたる都の憂あとにして、[r]
終に分け入る森陰の清
光も澄める湖
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否
幼年の日を養ひし大搖籃
ほだしも波の鴎鳥
磯根に近き岩枕
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*[r]
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噫いち早く襲ひ來る冬の日、なにか恐るべき。[r]
春の卯月
秋のみのりのえびかづら葡萄も摘まず、新麥
豐
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*[r]
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けふは照日
大野
和
變化
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時ならずして、汝
みだれ姿の影黒み蹙
嗚呼、大空の馳使
心は汝
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ステファンヌ・マラルメ[r]
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嗟嘆
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靜かなるわが妹
朽葉色
天人
憧
淡白
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その空は時雨月
時節
落葉
いざよひの池水
ながながし梔子
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物象を靜觀して、これが喚起したる幻想の裡、自から心象の飛揚する時は「歌」成る。さきの「高踏派」の詩人は、物の全般を採りて之を示したり。かるが故に、其詩、幽妙を虧き、人をして宛然自から創作する如き享樂無からしむ。それ物象を明示するは詩興四分の三を沒却するものなり。讀詩の妙は漸々遲々たる推度の裡に存す。暗示は即ちこれ幻想に非らずや。這般幽玄の運用を象徴と名づく。一の心状を示さむが爲、徐に物象を喚起し、或は之と逆まに、一の物象を採りて、闡明數番の後、これより一の心状を脱離せしむる事これなり。[r]
ステファンヌ・マラルメ[r]
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テオドル・オオバネル[r]
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白楊
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落日の光にもゆる[r]
白楊
谷隈になにか見る、[r]
風そよぐ梢より。[r]
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故國[r]
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小鳥でさへも巣は戀し、[r]
まして青空、わが國よ、[r]
うまれの里の波羅葦増雲
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海のあなたの[r]
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海のあなたの遙けき國へ[r]
いつも夢路の波枕、[r]
波の枕のなくなくぞ、[r]
こがれ憧
海のあなたの遙けき國へ。[r]
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オオバネルは、ミストラル、ルウマニユ等と相結で、十九世紀の前半に近代プロヴァンス語を文藝に用ゐ、南歐の地を風靡したるフェリイブル詩社の翹楚なり。[r]
「故國」の譯に波羅葦増雲
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アルトゥロ・グラアフ[r]
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解悟
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頼み入りし空
とまれるはなし。[r]
そをもふと、胸はふたぎぬ、悲にならはぬ胸も[r][UpdateSavePoint]
にがき憂
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きしかたの犯
のがれしはなし。[r]
そをもふと胸はひらけぬ、荒屋
高かき望に。[r]
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ガブリエレ・ダンヌンチオ[r]
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篠懸
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白波
青緑
まさかりの眞晝ぞ知
われは昔の野山の精
まなびて、こゝに宿からむ、[r]
あゝ、神寂びし篠懸
なれがにほひの濡髮
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海光[r]
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兒等
寂寞
天津日
淨まはる潮
轟く波凝
黒金
岬
足を延べたるこゝ、入海
うちひさす都のまちは、[r]
煩悶
鏡なす白川
風のみひとり、たまさぐる、[r]
洞穴口
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[MsgLayer alpha_All=0 visible=true][SetLimit limitFlg=PROG_OPE msgSpeed=0][Font size=11]底本:「上田敏全訳詩集」岩波文庫、岩波書店[r][UpdateSavePoint]
1962(昭和37)年12月16日第1刷発行[r][UpdateSavePoint]
1979(昭和54)年10月10日第19刷発行[r]
※当サイトでは、原文の「ヰに濁点」を「ヴィ」に、「ワに濁点」を「ヴァ」に書き換えました。[r]
入力:阿部哲也[r]
校正:川山隆[r]
2011年2月20日作成[r]
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。[/Font][SetLimit limitFlg=NONE][SetFixedMsgTrans mode=fadein time=300][StartTrans][l][SetFixedMsgTrans mode=fadeout time=100][StartTrans][ClearMsg][SetFixedMsgTrans mode=fadein time=1][StartTrans][Goto path=”./file/basic_aftercare.txt[r][r]