夜
竹久夢二
日が暮れて子供
「さあ、みっちゃんお
お母様は、幹子に寝間着を着せながら
「みっちゃんが夕御飯たべてる時に、親鳥が コ コ コ って言って雛鳥を寝かしていましたよ」
「だってあたし眠くないんですもの」
「山の
「だってあたし眠くないの」
「赤い小牛は小屋の中で、羊の子は青い草の中で
幹子は、柔かい気持の
この時、寝室の窓からお月様が、にっこり
「そら御覧!」
お母様はお月様の方を指しながら仰言った。
「お月様がみっちゃんに「おやすみ」を言いにいらしたよ。まあお月様がにこにこ笑っていらっしゃる」
お月様は、幹子の
幹子は、寝床の中からお月様の方を見あげて「お月様おやすみなさい」
そう言って
お月様の美しさ
天使のような美しさ
「母様! お月様は小羊も寝かしてやるの?」
「ええお月様は小羊でも山の
東の森を出る時に、
お月様は何を見た?
青い牧場の小羊が、
親の羊の懐へ
そろりと
お月様は、にこにこしながら、
底本:「童話集 春」小学館文庫、小学館
2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
1926(大正15)年12月
入力:noir
校正:noriko saito
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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