みちこ
そなたの胸は海のやう
おほらかにこそうちあぐる。
はるかなる空、あをき浪、
涼しかぜさへ吹きそひて
松の梢をわたりつつ
磯白々とつづきけり。
またなが目にはかの空の
いやはてまでもうつしゐて
竝びくるなみ、
いとすみやかにうつろひぬ。
みるとしもなく、ま帆片帆
沖ゆく舟にみとれたる。
またその
ふと物音におどろきて
午睡の夢をさまされし
かろやかにまたしとやかに
もたげられ、さてうち俯しぬ。
しどけなき、なれが
ちからなき、
海原はなみだぐましき
沖つ瀬は、いよとほく、かしこしづかにうるほへる
空になん、