蓼の属にハナタデすなわち花蓼というものが前々からあり、それが
ハナタデとはなぜこれにそんな名を負わせたかというと、その花穂が紅色ですこぶる美観を呈するからである。秋になってそのよく繁茂した株ではその茎枝を分って四方に拡がり、それに多数の花穂が競い出て赤い花が咲いている秋の風情はなかなか捨て難いものである。これにたまたま白花品があって、これがシロバナハナタデと呼ばれる。
今日我が植物学界ではこのハナタデをイヌタデと呼んでいる。これは
今日いう、ハナタデの名も上の『草木図説』に従ったものだが、これも誤りであるから私は新たにこれをヤブタデと名づけた。その花穂は痩せ花は小さくて貧弱、色は淡紅紫で浅く、けっして花タデの名にふさわしくない。私は以前からこんな花のものがどうして花タデの名であるのかと常にこれを怪しんでいたが、果たせるかな本当のハナタデはこれではなかった。
ハナタデ一名アカノマンマ
(誤称イヌタデ)