犯罪率が低く、モノづくりによって成長を遂げた経済大国であり、いまは少子高齢化が止まらない国──世界は日本に対してそんなイメージを抱えているだろう。 だが、世界の﹁日本﹂に対する印象に大きく関わってきたのは結局、アニメや漫画などの﹁ファンタジー﹂なのかもしれない。なかでも80年代、スタジオジブリが欧米の若者に与えた影響について、英メディア﹁アンハード﹂が報じた。 日本は﹁夢の工場﹂だった インターネットの登場以前、米国のティーンがアニメを見るには﹁違法な手段﹂に訴えるしかなかった。海賊版ビデオカセットはファンのあいだで、まるで﹁見るドラッグ﹂みたいに流通していたのだ。 新しいアニメの発見は、小さな啓示みたいだった。未知の国に一歩足を踏み入れたようだった。彼方の国である日本について私が知っていたことといえば、祖父の語る戦争の話と、夕方のニュースで流れる暗い話に限られていた。80年代は、日本と