ミッフィーやキティちゃんのような﹁可愛い動物﹂が銃を取って戦う映画があったら、世間の良識ある人達によって糾弾されるのは必至である。しかし大東亜戦争中、日本動画技術者は、その全力を以て一編の映画を制作した。 ﹁桃太郎 海の神兵﹂である。 昭和20年4月公開。戦時中の動画映画そのものを観る機会は非常にまれで、10本近い映画︵短編含む︶が公開されているにもかかわらず、実際に私が観ることが出来たのは、この一編だけである。10年ほど前に松竹の大船倉庫からフィルムが発見され、深夜TVで放映された。その後ビデオ化もされたが、現在は絶版になっているようである。レンタル屋にまれに置いてある場合があるので、一見をおすすめする。 この ﹁海の神兵﹂ はメナドへの海軍落下傘部隊降下に取材したものである。当時の ﹁漫画映画﹂ にしては長編で、制作者と海軍の気合いの入り方を感じさせる。桃太郎の手下として有名な猿、雉、