﹁見知らぬ女2人に顔に何かを塗られた﹂。2月13日の殺害事件当日、クアラルンプール国際空港の出発フロアで突然、顔に液体を塗られた北朝鮮の金正男︵キムジョンナム︶は、同じ階にある案内カウンターに助けを求めた。通報で駆けつけた警察官、ズルカルナイン︵31︶が2日の公判で直後の様子を次のように証言した。 目が﹁少し赤い﹂のが気になった。被害届を出すか診療所に行くかを尋ねると、正男は﹁先に診療所に行きたい﹂と答えた。2人は2階下のクリニックまで一緒に歩いた。3~5分かかった。正男の足取りは重く、途中、﹁ゆっくり歩いてください。目がかすんで見えないんです﹂と英語で訴えた。 ズルカルナインは事務的なミスを犯したと法廷で認めた。正男のパスポートの名義は﹁キム・チョル﹂という外交官。国名は英語で﹁朝鮮民主主義人民共和国﹂と書かれていたが、﹁Korea﹂を韓国だと勘違いして報告書に記載してしまったという。