刑事司法の歴史は、1つ新たなページめくったのかもしれない。 7月18日に行われた最高検新旧検事総長ら4人の検察幹部の記者会見では、いずれも取り調べの録音・録画に対して、かつてない前向きな発言が続いた。 検察改革の最大の成果は録音・録画まず、退任する小津博司検事総長。 記者会見する小津検事総長任期中最も印象的なこととして、取り調べの録音・録画の拡大を挙げ、「全国の地検を回っていて、最初の頃はみんな口では『やります』と言ってはいたが、(内心は)大丈夫だろうかと思っていて、中には積極的な人もいるが消極的な人もいる状態だった。しかし最近は、録音・録画は意義がある、という確信を持った発言が増えている」と述べた。さらに、検察改革の成果を聞かれても「一番大きいのは、録音・録画」とした。 最高検は先月、起訴される見込みのある身柄事件で、被疑者の供述が立証上重要であるもの、取り調べ状況を巡って争いが生じる可
『裁判長!死刑に決めてもいいすか』など裁判傍聴をもとにした著作のあるライターの北尾トロ氏。近年、警察や検察の取り調べに対し全面可視化を訴える声があるが、冤罪に対して警察もしくは検察から謝罪のない現在は難しいと指摘する。 * * * 3月末から4月初旬にかけて、裁判所では裁判官や職員の異動にともない、極端に開廷数が少なくなる。そこで今回は恋愛事件を離れ、3月27日に死刑及び拘置の執行停止並びに再審が決定した袴田事件から話を始めたい。 ぼくは驚いてしまったのである。静岡地裁の村山浩昭裁判長が「証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがある」と述べたからではない。「これ以上拘置を続けることは堪え難いほど正義に反する」と言ったからでもない。31日、静岡地検がこの決定を不服として、東京高裁に即時抗告したからだ。裁判所が認めたDNA鑑定結果は信用できない、犯人は袴田巌であると、この期に及んで言い張っているの
すでに無罪判決が確定している事件の取り調べの状況を録画したDVDを、NHKに提供したのは証拠の「目的外使用」(注1)だとして、大阪地検が弁護人を大阪弁護士会に懲戒請求した問題。同会に所属する刑事弁護のベテランら有志が「支援団」を結成し、DVD提供の公益性を訴えることになった。一部メディアを除いて、熱心に報道されているとは言い難いが、当の佐田元真己弁護士は、「まさに報道の自由、国民の知る権利の問題なんですよ」と語る。検察が、国民に知られたくなかったものとは何なのか…。 DVDに検察ストーリーと矛盾する供述が記録「これは国民の知る権利の問題」と語る佐田元弁護士DVDに収録された映像の一部が放映されたのは、4月5日。夜の関西地方のみに流される報道番組「かんさい熱視線」で、この日のテーマは「”虚偽自白”取調室で何が」だった。同番組は、これまでも冤罪や検察を巡る問題を積極的に取り上げてきた。この日は
なりすましウイルス 大学生の父親「最も悲しいのは無実を疑ってしまったこと」 横浜市のホームページに小学校襲撃予告が書き込まれた事件で誤認逮捕され、家裁が保護観察処分を取り消した男子大学生(19)の父親は30日、以下のコメント(全文)を発表した。 マスコミの皆様へ 今回の誤認逮捕の件につきまして、一言述べさせていただきます。 大学生の息子は、学業半ばにして深夜突然、連行・逮捕されました。 当人の強い否認にもかかわらず、十分なパソコンデータの解析も行われないまま取り調べが続きました。 警察・検察双方からの不当な圧力を受け、理不尽な質問で繰り返し問い詰められ続けました。 勾留期限が迫り、また家族への配慮と自分の将来を考え、絶望の中で事実を曲げ「自分がやった」という自供をし、保護観察処分となりました。 無実である証拠が出てくることを切望し待ち続けながらも、諦めざるを得なかった息子の心情を思うと、や
10分の休憩後、山下幸夫弁護士、市川博弁護士、山口一臣氏、岩上安身氏がコメンテーターとして、登壇されます。 まず山下先生が、語られます。 じつは、この羽賀氏の裁判、自分は密かに注目していた、とおっしゃいます。特に弁護側証人徳永氏の偽証立件と有罪判決について。 そして、検察は、裁判員裁判が始まる前の段階で偽証罪を活用すると方針として明らかにしていた。先ほど話題に上がった2号書面に関して、検察は、取調室で検察に有利な調書を作る。そして、その(検察側)参考人に、法廷で調書と違うことを言ったら偽証罪でアゲるぞと脅して、調書通りのことを言わせる目的があるのが、「証人テスト」の意味。 もちろんそれでも供述を翻しても、その場合は、供述調書が採用されるわけだが、その状況を防ぐために証人に供述を変えさせないようにするのが証人テストなのである。少なくとも自分が弁護人としてかかわった事件ではそういうことがあった
郵便不正事件で主任検事が証拠として押収したフロッピーディスク(FD)を改ざんした疑惑は、刑事裁判にたずさわる法曹関係者らも、重大に受け止めている。 元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授(刑法)は「事件の真相解明を目指す捜査機関が捜査資料に手を加えることは前代未聞で、信じられない思いだ」と話す。 土本氏によると、検察は、押収した資料について名刺1枚に至るまでリストを作り、厳格に検察庁内の倉庫などで管理しているという。検事の取り調べに証拠品が必要な場合は、検察事務官が帳簿に持ち出しや返却の記録を残す。「だが、今回のようにフロッピーディスクの中身を書き換えられるようなことが起きたのであれば、点検のしようがない。想定外の事態で、ルール以前の問題だ」と述べた。 元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「捜査における証拠品の重要さへの認識が全く欠如している。捜査の基本ができていないと言わざるを得
郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件をめぐり、押収品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、最高検は21日夜、大阪地検特捜部でこの事件の主任検事を務めた前田恒彦容疑者(43)を、証拠隠滅の容疑で逮捕する方針を固めた。 朝日新聞が21日朝刊で疑惑を報じたことから、最高検が捜査に乗り出していた。 朝日新聞が入手した特捜部の捜査報告書などによると、FDは昨年5月、厚生労働省元局長の村木厚子氏(54)=一審・無罪判決=の元部下の上村(かみむら)勉被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から押収された。自称障害者団体が同制度の適用を受けるため、上村被告が2004年6月に発行したとされる偽の証明書の作成日時データなどが入っていた。 特捜部は証明書の文書の最終更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」とする捜査報告書を作成。FDは押収の約2カ月後にあたる
民主党の「取り調べの全面可視化を実現する議員連盟」(会長・川内博史衆院国土交通委員長)は10日、取り調べの可視化を導入する刑事訴訟法改正案を今国会に政府が提出するよう、千葉景子法相に申し入れた。 申し入れ書は、民主党は08、09年の2回にわたって議員提出法案を参院で可決させた経緯があると指摘。「党内議論も十分に熟しており、政府が行うことは速やかな法案提出。勉強会の開催で時期を遅らせることは国民の期待に反し許されない」としている。
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