「サイエンスZERO」20周年スペシャル・取材班 この宇宙の物質には「目に見える」ものが全体の5%しかないことをご存じでしょうか。「質量は持つ」けれど「観測できない」という宇宙の大部分を占める物質は、「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれています。今、世界中の科学者がこの謎の物質を捉えようと理論や実験を総動員して研究しています。 天文学・物理学・数学といった異分野の専門家たちが集まる世界トップレベルの研究所「カブリ数物連携宇宙機構」の初代機構長を務めた宇宙物理学者の村山斉さんは、ダークマターを「我々人類のお母さん」と呼びました。前編『「暗黒物質ダークマター」は《お母さん》? 「だからぜひ会ってみたいですね」と言い切る理論物理学者・村山斉さんが語る「人類すべての母」』でその理由を伺いました。 【写真】火星での大発見と土星探査機カッシーニの見た宇宙 後編では、今後の展望について伺います。 「見え
カナダ企業Thoth Technologyが公表した、高さ20キロの「宇宙エレベーター」のデザイン画(2015年8月17日提供)。AFP/20km Space Tower/THOTHX.COM 【8月18日 AFP】あるカナダ企業が、宇宙飛行士が軌道の途中まで乗っていけるほど高い、超高層タワーの建設を計画している。 完成すれば、このタワーはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)にある、現在世界で最も高い超高層ビル「ブルジュ・ハリファ(Burj Khalifa、高さ830メートル)」の20倍の高さになるという。 「宇宙エレベーター」は、ロシアの科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキー(Konstantin Tsiolkovsky)が1895年にフランスの首都パリ(Paris)のエッフェル塔(Eiffel Tower)を見て最初に着想。だが技術的な課題がネックとなり、1世紀以上、概念
III章 軌道エレベーターによる放射性廃棄物の処分 ここまで、軌道エレベーターの原理と機能、放射性廃棄物処分の現状などについてみてきた。本章では両者を結び付けて、軌道エレベーターを建造し、これを使って高レベル放射性廃棄物を投棄するシミュレーションを、可能な限り現実に存在するデータや既存の論文等で示されている試算等にもとづいて行う。そしてこの方法により、どのくらいの期間や予算で高レベル放射性廃棄物を全廃できるかを予測する。 1. 軌道エレベーターの建造 既存の軌道エレベーターの先行研究の中で、ブラッドリー・C.エドワーズと他の研究者による著作は情報として比較的新しく、具体的に建造手順を説明している。本稿ではエドワーズらの著作で紹介されている軌道エレベーターを基本形とし、これに若干の応用を加えて建造プランを進める。 エドワーズの著書では様々な可能性を検討した上で、建造すべき軌道エレベーターの形
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