1983年をピークに急激に縮小してきたウイスキー市場。2007年には販売量ベースで6分の1まで落ち込んでいた。メガ・ブランド﹁オールド﹂を軸に成長を続けてきたウイスキー事業も創業以来最大の危機を迎えつつあった。そんななか、起死回生の一打として打ち出されたのが﹁ハイボール﹂の復活プロジェクトだった。 なぜ、ウイスキーが飲まれなくなったのか。数年にわたる調査のなかで、浮かび上がってきた課題が若者のウイスキー離れ。ウイスキーは他のアルコール飲料に比べ、価格も高い。そして何よりも中高年がグラスを片手に氷の音を響かせながら飲むという古いイメージが、ウイスキーを若者から遠ざけていた。その一方で、﹁とりあえずビール﹂と乾杯はするものの、低アルコール飲料が台頭し、若者のビール離れが叫ばれている時代でもあった。そこで再発見された飲み方が、アルコール度数も低く抑えられ、食中酒としても飲める﹁ハイボール﹂だった