﹁東京で2400、、、サクラさんの馬ですよ、何か。ハナ負かしたですよ。4歳中距離特別とかなんかいうの、ハナ負かして︵ダービーの︶権利を取ったんですよ。そうしたら、それからというもの本当に馬が変わって変わって、一日一日おもしろいように良くなったんですよ。目に見えるんですねえ・・・﹂ この話の主は故稲葉幸夫調教師。調教師引退まであと1年ほどになった春のある日、師を取材したときのコメントをVTRから起こしてみた。で、﹁一日一日おもしろいように良くなった﹂馬というのはハイセイコーを敗ってダービーに勝利することになるタケホープ。そのダービー直前の﹁目に見える﹂ほどの良化ぶりを、その光景が今でもまざまざと目に浮かんで来るかのような感慨をこめて話して下さった。稲葉師は北海道新冠の御料牧場で生まれ、以後生涯にわたって馬と共に生きた人で、調教師としてもそれ以前に天皇賞︵秋︶、有馬記念、桜花賞、オークスなどに