﹁ヒラリーは公用のEメールを勝手に削除した!﹂6月2日、カリフォルニア州サンノゼ市のコンベンションセンターで、ドナルド・トランプがダミ声で怒鳴ると、聴衆は激しいブーイングで応えた。 ﹁私が大統領になったら、あの女を刑務所にぶち込んでやる!﹂ トランプが拳を振り上げると、聴衆は﹁うおおおお﹂と雄叫びを上げて足を踏み鳴らした。 聴衆の9割以上は白人。平日の夕方だから仕事帰りのはずだが、ネクタイやスーツを着た人は少ない。ほとんどがジーパン。ワークブーツの人も多い。 彼らは﹁サイレント・マジョリティー﹂と書かれたサインボードを掲げ、上気したピンク色の顔で﹁移民を追い出せ!﹂と熱狂的に叫んでいる。まさにピッチフォーク・モブ。よそ者をリンチするため、燃え盛る松明︵たいまつ︶やピッチフォーク(干し草を持ち上げるための農具)を手に村を練り歩く怒れる群衆だ。 時々聴衆に交じった反トランプ派の人が﹁レイシス