山梨と埼玉、群馬の県境にある長野県川上村の村名を冠した﹁川上犬﹂という県天然記念物のイヌがいる。商業目的の売買を認めず、﹁オオカミの血を引く﹂とさえいわれる野性的な姿を守ろうと﹁川上犬保存会﹂︵会長・藤原忠彦川上村長︶が管理を徹底。甲斐犬や秋田犬などに比べれば、知名度こそ及ばないものの、希少性は高く、村のシンボルとして扱われている。︵比嘉一隆︶ ◇ ﹁川上犬は環境が合わないとフサフサした毛が抜けて、短くなる。水と空気がよくないところに預けるのは避けています﹂と保存会事務局担当でフリーライターのたかはし・るり︵ペンネーム︶さんは話す。 川上犬は、黒い爪︵つめ︶で、目は三角形で小さく、眼色は紅彩を帯びる。﹁雌犬を山に置いて、オオカミと交配させていた﹂との伝説が残るほどの精悍︵せいかん︶なスタイルが特徴。体高は40センチ前後になり、シバイヌよりやや大きめだ。 全