盲人男性は﹁美人﹂に欲情するか? ──晴眼社会を生きる盲人男性のセクシュアリティ── 倉本智明 ﹃視覚障害リハビリテーション﹄48号:69-76頁, 1998.12, 日本ライトハウス1.﹁声の美人﹂ どんな女性に性的魅力をおぼえるか、を話題にして晴眼の友人らと話しているとよく、﹁目が見えないと、やっぱり、﹃声の美人﹄とか気になるんじゃないの?﹂と言われることがある。視覚的な基準で性的魅力を云々することのできない盲人が、声に重きをおいているだろうとの推測は、それなりにうなずけるものかもしれない。﹁鈴を鳴らすような﹂といった比喩の存在が示唆するように、晴盲を問わず、私たちはさまざまな声のなかに美醜を発見し、優劣の判断を下さずにはおかない文化のもとにくらしている。﹁鈴を鳴らすような声﹂が好みであるかどうかはともかく、その意味では、盲人もまた、﹁声の美人﹂に無関心ではいられないということはでき