卒業式で君が代斉唱時の起立を命じた校長の職務命令が﹁思想・良心の自由﹂を保障した憲法19条に違反しないかが争点となった訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷︵須藤正彦裁判長︶は30日、﹁憲法に違反しない﹂とする初めての判断を示した。 訴えていたのは、東京都立高校の元教諭の男性︵64︶。2004年3月の卒業式で﹁国歌斉唱の際は、国旗の日の丸に向かって起立するように﹂と校長から命じられたが、起立しなかったことから戒告処分を受けた。07年3月に定年退職する前に﹁嘱託員﹂としての再雇用を申請したが、不採用とされたため、都に損害賠償などを求めて提訴した。 一審・東京地裁判決︵09年1月︶は、職務命令は合憲としながら、04年3月以降は職務命令に従っていた点などを考慮して﹁裁量権の逸脱﹂と判断し、約210万円の支払いを都に命じた。一方、二審・東京高裁判決︵09年10月︶は、﹁都には広範な裁量権がある﹂