この秋に相次いで出版されたブレア元英首相とブッシュ前米大統領の回顧録が面白い。ブレア氏の原書は700ページ超、ブッシュ氏のは500ページ超だが、電子版なら持ち運びは苦にならない。 とくに興味深いのは、イラク戦争をめぐる心の葛藤や各国首脳との駆け引きだ。欧州型進歩主義者のブレア氏は、クリントン元大統領を﹁政治的盟友﹂と慕うだけに、アメリカ保守強硬派のブッシュ氏との初対面では対応に戸惑ったという。 一方のブッシュ氏はブレア夫妻を初めてキャンプ・デービッド山荘に招いた夜、ハリウッド映画﹁ミート・ザ・ペアレンツ﹂を一緒に大笑いして楽しみ、﹁この男は信頼できる﹂と直感したそうだ。 信頼を重視し、単純明快なブッシュ氏。慎重で知的なブレア氏。思想も性格も対照的で、いわば水と油の2人が﹁イラク戦争やむなし﹂で一致したのは不思議ともいえた。大量破壊兵器の危険性を重視した点は同じだが、ブレア氏は﹁世界は自国民