日本エネルギー経済研究所理事 田中浩一郎 ︻導入︼ 中東・北アフリカ諸国が、民衆運動と政変で大きく動いたのが、昨年、2011年でした。発端となったチュニジアとエジプトにおける政権交代から、ほぼ1年が過ぎ、今度は、イランと、ペルシア湾の出入り口にあたるホルムズ海峡をめぐる緊張に、世界の関心が移りました。 きょうは、2012年を通じて、この地域の焦点となる、イラン核問題への対処と、それが日本に及ぼす影響について、考えをまとめてみました。 2012年は、イランが、兵器化に必要な技術を、獲得することを阻止する上で、重要な年であると、位置付けられています。 IAEA︵国際原子力機関︶が、イランの兵器開発計画の存在を疑い、それがいまも進行していることへの疑念を強めた昨年の11月から、安保理決議に依拠しない、欧米諸国の、独自判断による制裁強化が行われています。イランが、アメリカ本土での要人暗殺未