2020年9月10日公開 担当:畠山 公大先生 所属:脳神経内科学分野 はじめに 私たちが見ている世界は,私たちの目に映った世界そのものではない.私たちが見ていると感じるのは,視覚情報をもとに,脳が都合よく解釈し,作り出した虚構の世界だ1. この虚構性を実感できる具体例として,生理的錯視が挙げられる.図1は生理的錯視の一例である,Kanizsaの三角形と呼ばれる図形である2.真ん中に白い三角形が浮き出て見えるだろう.しかし,実際には三角形は存在しない.あるのは,切れ込みの入った3つの円と,一辺の欠けた3つの小さい三角形である.しかし,そう分かっていても白い三角形が見えてしまうのは,我々が体験している視覚世界が,脳の作り出した虚構であることの証左に他ならない.すなわち,偶然3つの円に入った切れ込みが,それぞれ他の円の切れ込みと一直線に並ぶよりも,3つの円の上に白い三角形が載っていると解釈した
神戸大学大学院の内匠透教授らの国際共同研究グループは、特発性自閉症の原因が胎児の時の造血系細胞のエピジェネティック(注)な異常であり、その結果が脳や腸に見られる免疫異常であることを明らかにした。 自閉症発症における免疫障害の重要な発達段階と免疫系の広範な関与を考慮し、研究チームは共通の病因が広範な免疫調節不全の根底にあり、異なるタイプの前駆細胞にあると仮定した。免疫細胞のもとになる血球系細胞に注目、さらに、胎児の時の造血に関わる卵黄嚢(YS)と大動脈-生殖腺-中腎(AGM)に焦点をあてて解析を行った。 研究グループは、自閉症モデル動物のBTBRマウスを用いてAGM血球系細胞を解析し、免疫異常の病因としてHDAC1(ヒストン脱アセチル化酵素1)を同定した。また、YS血球系細胞の解析により、ミクログリア(中枢神経系グリア細胞の一つで中枢の免疫を担当)発達異常の病因として同じくHDAC1を同定し
意識は量子効果で形成されているのかもしれません。 カナダのアルバータ大学(University of Alberta)とアメリカのプリストン大学(Princeton University)で行われた研究によれば、ヒトの意識は量子的な効果で発生しているという量子意識仮説を支持する発見あった、とのこと。 量子意識仮説はブラックホールの存在を示した業績で2020年にノーベル物理学賞を受賞したロジャーペンローズ博士らによって提唱されており、脳科学と量子論を融合した野心的な理論となっています。 かつてはブラックホールの存在と同じく「荒唐無稽」であるとみなされていましたが、新たな研究では量子意識仮説を裏付けるような実験的な結果が得られました。 ヒトの意識は本当に量子効果で形成されているのでしょうか? 研究内容の詳細は2022年4月18日に開催された『Science of Conciousness』会議
性別によって脳の神経回路網(ネットワーク構造)に違いがあることを、和歌山県立医科大学の金桶吉起教授らが研究で明らかにした。女性は月経周期によって変化することも分かり「脳に作用する睡眠剤や抗不安薬の使用を含めた神経精神疾患の治療研究には、性別や女性の月経周期を考慮する必要がある」と指摘している。 脳の神経細胞は150億個あり、互いにネットワークを組み、情報を交換しているが、場所によってつながりの程度の強弱が個人差や疾患により違うことが分かっている。 金桶教授らはこの現象が性別でも見られるか、2012年から研究を開始。国内の大学生男女100人ずつの磁気共鳴画像装置(MRI)による画像を基に調査した結果、男性は前頭葉、女性は後頭葉の付近でつながりが強いことが分かった。 また、女性は月経周期によって脳のネットワーク構造が変化することも明らかになった。特に月経前の症状(頭痛や腹痛、イライラ、不安感な
植物には意外な進化の経緯がある。 陸上植物は4億5,000万年前に登場したが、木はサメよりも新しい。花が登場するのは白亜紀になってのことだ。さらに草が芽吹き始めたのは4,000万年前である。 英バーミンガム大学が明らかにしたところによると、当時、植物は驚くべき機能をいくつか進化させた。 その1つが脳である。もちろん動物と同じような意味ではないが、まるで一種の指令中枢として機能する一連の細胞があるのだ。 広告 成長のタイミングをはかる脳の機能を持った細胞 今回、植物の胚の中で発見された一連の細胞が、植物の生活環について重要な決定を下していることが判明した。 真冬に慌てて芽吹かないように、あるいは真夏まで芽吹かず生存競争に遅れをとることがないように、発芽のタイミングは完璧を期さねばならない。
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