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『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯 - HONZ
葛飾北斎は﹁為一﹂や﹁卍﹂など30以上画号を変え、90回以上も住居を変え︵近所でぐるぐると回る説もあ...
葛飾北斎は﹁為一﹂や﹁卍﹂など30以上画号を変え、90回以上も住居を変え︵近所でぐるぐると回る説もあり︶、描くテーマも浮世絵から漫画、さらに春画まであらゆるジャンルを描いてきた。私は北斎に強く影響を受けており、何より晩年作品の繊細さと完成度には、人の表現はここまで進化するのかと驚いた。 画家といえば、ピカソも長寿で多作である。その数は生涯14万点を超える。青の時代における絵画から、キュビズムまでその作品の多様性には北斎と共通する。ただ1人の人間から生み出されるエネルギーや力強さなどは一貫している印象があり、北斎の晩年におけるタッチの繊細さと、うすぼんやりとした心の闇を表すような暗さはない。実際に﹁富士越龍図﹂など絶筆の北斎作品を観ると、まるで別人格になったような違和感と魅力がある。 本書は画家・葛飾北斎の娘に焦点をあてたものだ。当時は江戸ナンバーワンの人気絵師である北斎の元に、その絵の技術
2020/07/07 リンク