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あなたは子どもを生んではいけません。|乙武 洋匡
﹁あなたは子どもを生んではいけません﹂ もし、そう言われたら、あなたはどう感じるだろうか? おそら...
﹁あなたは子どもを生んではいけません﹂ もし、そう言われたら、あなたはどう感じるだろうか? おそらく、﹁そんなの個人の自由だろう﹂と反論するだろう。もしくは、﹁バカなこと言ってるな﹂と右から左へと受け流すことだろう。 しかし、それが法律で決まっていたとしたらどうだろう。﹁そんなことあるわけがない﹂と思うかもしれない。しかし、そんな時代があったのだ。それも、この国で。 1948〜1996年まで、日本には優生保護法という法律があった。この法律は1940年にナチスドイツの遺伝病子孫防止法をモデルに制定された国民優生法が前身となっている。 この国民優生法は、戦前の﹁産めよ増やせよ﹂というキャッチフレーズに代表される人口増加政策に基づき、障害や疾病を有する者の人口を減らし、“健全なる素質”を有する者の人口を増やすという目的のもとに制定された。だが、戦後となった1948年の優生保護法では﹁悪質の遺伝防