1996年、米国で、オピオイド系の麻薬性鎮痛薬﹁オキシコンチン﹂が発売された。その年、医学誌にはこんな広告が掲載されている。2つのカップがスポットライトに照らされていて、片方には﹁朝8時﹂、もう一方には﹁夜8時﹂と書かれている。そして、キャッチコピーがひとつ。 ﹁たった2錠で、痛みが和らぐ﹂──。 新薬で見た﹁地獄﹂ オキシコンチンが発売された当時、42歳の主婦だったエリザベス・キップは、とある米カンザス州カンザスシティの医師を訪れた。 彼女は14歳のときに乗馬大会の練習中に落馬して以来、ずっと腰痛に悩まされてきていた。それからというもの、短時間作用型の鎮痛剤をずっと服用してきたが、その日、医師に新しい薬を試してみないかと提案された。 オキシコンチンを12時間ごとに1錠服用する、というのが医師の指示だった。彼女は、その指示をしっかり守ったという。 ﹁科学者気質だから、こういうことは厳格に
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