かれこれ10年以上も前のことだ。ある精神科医にこんなことを言われた。 ﹁もう弟さんを手放したらいかがですか。もっとも彼の場合、お姉さんに突き放されたら、本当に死んじゃうかもしれませんけど﹂ 弟は重度のアルコール依存症だった。 それだけでなく、双極性障害も患い、睡眠導入剤の薬物依存にも陥っていた。典型的な﹁重複障害﹂だ。 時期によってこの3つのうちのどれかが落ち着くこともあったが、そうすると他のどちらか、あるいは両方が悪化するという具合で、どちらにしても苦しい状況から逃れようがない。 さらにゲイであることに起因する問題にも長年傷つき苦しんでいたが、それはひた隠しにしていたので、私がそのことを知ったのはずいぶん後になってからだ。 アルコール依存症、双極性障害、薬物依存、そしてゲイであることは、私にとって恥ずかしいことではまったくない。 だが弟はずっとそういう自分を恥じていて、自己否定感が強く、
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