人生ではじめて猫をまじまじと目の真ん前で眺めた日がその猫がうちにやってきたちょうどはじめの日で 小さな籠におさまってやってきた猫はしかしすでに堂々とした体躯で、四国銘菓のような姿で堂々と眠っていたので一六と名づけた 名が音をたてて天井から降ってきて頭にぶつかったような日だと思いながら籠の中で眠る猫を眺めて眠った いつかどこかで、もしまたなにかあずかり知らぬ縁がありもう一匹猫が我が家にやってくることがあれば そのときはまだ知らぬ彼か彼女かをタルトと名づけてやろうかともくろんだがその日はとうとうやってこず 一六はただ一匹のただのなんでもない一六のまま14年ここで暮らして去った すとんと切り落としたようなきれいに丸い甘いお菓子のような寝姿を思い出している
半額のかますのひらき 夕方の西友の投げ売りで安かったので買いました 2枚で429円 錐形の顔が怖くて歯がぎざぎざで指にささる痛い魚であるがとてもうまい 水気をきって塩を振って魚焼きグリルで焼いて夕食にした 横着してまとめて2枚焼くと真ん中がなかなか焼けないが焼いてる間じゅういい匂いがする 身がやわらかく皮目が焼き網にくっついて難儀したし身はごく少ないがそれでもたまに食べたいおいしい白身魚で おいしいのだが焼いたのち時間が経つとあのいい匂いはどこへいったのか、という生臭い匂いになってそれで台所じゅうが満ちてしまう 匂うのだが魚焼きグリルを洗うのがどうしても面倒で魚を焼いたことそのものに目をつぶってそのまま置いてしばらく忘れていてふとみると 灯りの消えたほの暗い台所のすみっこに猫はこっそり歩いていって、そっと背伸びをしてこっそりグリルをなめていた ふだん人間の食べものには特段おもしろいところが
数日前母が大量のキッチンペーパーを安かったからと言って買ってきた 今日ホルダーに備えつけていたものが切れたので母にあれはどこにあるの、と尋ねると冷蔵庫の上の開き戸の中だと言うので その冷蔵庫の上の天井に備え付けてある開き戸収納の中からキッチンペーパーの買い置きを出すのに 冷蔵庫横のシンクの台に乗るわけにいかないから食卓の椅子を持ってきてそこにのぼって開き戸を開けたとき そういえば昔は猫が、人間みたいに衛生なんてことを気にもせずシンク台をステップにして冷蔵庫に飛びあがっていたなあ この開き戸を開けっ放しにしてやって収納スペースと冷蔵庫の上好きな方でのびのび猫が眠れるようにしてやってたなあということがばーっと映像で蘇ってきて そんな工夫のあったことも忘れるほどには猫が冷蔵庫の上やサイドボードにひょいとのぼらなくなってからの年数がずいぶん経っていることに気がついて 急にものすごく寂しくなってスト
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