﹃一発屋芸人列伝﹄。﹁雑誌ジャーナリズム賞﹂の受賞作であり、一発屋芸人にインタビューを重ねたこの本を貫くのは著者の強烈な﹁義侠心﹂である。辞書的に言えば﹁正義のために弱い者を助けようとする心﹂︵日本国語大辞典︶にあふれている。 著者、﹁髭男爵﹂山田ルイ53世は﹁ルネッサーンス!﹂で一世を風靡した一発屋芸人である。彼の義侠心はどこに向かうのか。 それは一瞬で消費され、世間を笑わせるのではなく、世間から笑われる対象になってしまった同じ﹁一発屋芸人﹂だ。より正確には、一発屋の生き方であり、芸の技術を世間の嘲笑や蔑みから助けだそうと試みている。 一発屋についてまわるのは﹁どうせ……﹂という言葉だ。﹁どうせ、芸も考えも浅はか﹂﹁どうせ今も大したことをしていないんでしょ﹂に抗いながら、山田ルイ53世は読者に問う。 一発屋を弱い者と扱い、﹁どうせ……﹂で切り捨てていいのか?と……。 ︵取材・文‥石戸諭/
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