我が国の公的年金制度の最大の問題は、老後の防貧機能を堅持しながら、年金財政の持続可能性をいかに高めていくかにあるが、先般︵2019年8月下旬︶、厚生労働省は2019年・財政検証の結果を公表した。次回の財政検証は2024年であるが、2019年の財政検証では、名目運用利回りや実質賃金の伸び等の異なる条件で6ケース︵ケースⅠ~ケースⅥ︶を検証している。 新聞やテレビ等の報道では、金融庁の報告書﹁老後2000万円問題﹂の影響もあるため、将来の年金額が減るのか増えるのか、年金財政は本当に破綻しないのか、といった内容が中心となった。このような報道では、モデル世帯の﹁所得代替率﹂に注目するものが多かった。 所得代替率とは﹁現役男性の平均的な手取り収入に対するモデル世帯での年金の給付水準の割合﹂を示す。2029年度以降の実質GDP成長率が0.4%となる﹁ケースⅢ﹂では、2019年度の所得代替率61.7%が
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