第2回 なぜ3単現に -s を付けるのか? ――変種という視点から1 真剣に答えられてこなかった素朴な疑問 連載記事の第2回となる今回は,英語学習者であれば必ず一度はつまずく﹁3単現の -s﹂の話題を取り上げます.拙著﹃英語の﹁なぜ?﹂に答える はじめての英語史﹄の3.1節で﹁なぜ3単現に -s を付けるのか?﹂という素朴な疑問を取り上げましたが,本記事ではこの問題についてさらに掘り下げて考えます.3単現の -s とは実に厄介な文法項目です.私が普段学生の書く英文を読んでいて最も多く出会う文法ミスは,冠詞の有無の誤りを除けば,3単現の -s かもしれません.かくいう私自身も,長い英文を書くと,必ず3単現の -s に関してミスを犯します.校正段階で気づけばよいですが,活字として印刷されてから気づき,﹁やってしまった・・・﹂と嘆いた経験も1度や2度ではありません.会話は音の世界ですから,ミ