本稿はNPM︵New Public Management︶1と評価との関係に論及する。ここでいうNPMは、政治学的にいえば20世紀最終四半期に展開した世界的な行政改革の思潮である。具体的にはイギリスのサッチャー政権下のサッチャリズムやアメリカのレーガン政権下のレーガノミクス、あるいはニュージーランドのロンギ政権下のロジャーノミクスがその源流である。とりわけ日本では、行政改革のみならず政策評価の理論的背景として紹介されることもおおい。 本稿は、これらをふまえながら公的部門における﹁評価﹂についてNPMの理論的影響があったのか、あったとすればどのような意味であったといえるのかという点を検討する。またこのことを明らかにした上で本稿は、NPM論者として著名なHoodの所説に寄り添いながらNPMが惹起するもうひとつの論点、すなわち﹁統制の多元化﹂現象を指摘する。