死者8人・重軽症者約600人を出したオウム真理教の松本サリン事件から今年で25年。事件の被害者で、妻をサリンの後遺症で亡くした河野義行さん︵69︶は、オウムへの恨みや憎しみはないと公言してきた。教団元幹部への死刑が執行された際には﹁残念﹂﹁悲しい﹂とも語っていた。なぜ許すのか、許せるのか、を聞いた。 ――事件のとき﹁松本市の会社員︵44︶﹂と報道された河野さんがもうすぐ古希なのですね。 ﹁世の中から自分の足跡を消す作業を始めています。住所は知人にもあまり教えていません﹂ ――事件を知らない人も増えています。あの夜、妻の澄子︵すみこ︶さんが口から泡を吹き、全身をけいれんさせているのを自宅で見たのですね。記憶は今も鮮明なのですか。 ﹁ええ。彼女の苦しそうな顔を、リアルに覚えています﹂ ――サリンは猛毒の神経ガスです。自身も被害に遭いましたね。 ﹁死を意識しました。視力に異常が出て部屋が暗くなり
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