職あれば食あり 人は食べるために働くのか、それとも、働くから食べなければならなくなるのか。そんな素朴な疑問を解き明かすべく、さまざまな職業に従事する人々のランチと人生を追いかける。﹁職﹂と﹁食﹂の切っても切れない関係を解きほぐす、お仕事紹介ルポ。 バックナンバー一覧 ﹁これは批評家に限らずではありますが﹂と断った上で、若手批評家の田中二郎さん︵仮名、30代︶が言う。 ﹁もの書き業は全般に、文のプロレタリアートです﹂ 身も蓋もないが、そういう側面は否めない。にもかかわらず、批評の世界だけはクビを傾げたくなる現象も起きている。 ﹁どういう訳か、なりたい人はたくさんいるんですよ﹂ 養成講座を開くと、たちまち数十人の若者が押し寄せる。マーケット的に言えば、需要はないのに供給ばかりが増えている状況だ。 ﹁なんか、ヘンですね﹂ ﹁そうなんです﹂ ネットのおかげで門戸は広がったが… デビューしても批評だ