殊能将之に関するkamanobeのブックマーク (2)
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︵承前︶ 夢と現実のはざまに生きる者だけが、真摯に夢を、現実を生きようとするのだ。︵﹁空耳通信1押井守あるいは半分は予感でしかない通信﹂/﹃Before mercy snow﹄所収︶ 単なる三人称でも一人称でもない、その二つの﹁はざまに生きる﹂言葉について考えてみよう。 ﹁ディック自身は遊ばないんだな﹂という躓きは、なまなかのものではない。なぜならディックの﹃暗闇のスキャナー﹄という小説は、その意味においては凄まじい作品だから。 刊行は1977年だが、作品の舞台は1994年。カリフォルニアでは物質Dというドラッグが流行しており、主人公の捜査官フレッドはアークターという売人の監視を命じられる。アークターは複数のジャンキー仲間と住んでおり、その家に監視装置︵スキャナー︶が設置される。しかしアークターとは実はフレッドの囮捜査官としての別名である。かくしてフレッドは自分自身を監視しながら、敵にも
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1去年のうちに入手していたものの、レビューされている作品になじみが薄い︵主にSF︶ことからチビチビと読んでは残していた﹃Before mercy snow 田波正原稿集﹄︵名古屋大学SF研究会、2013︶を、ようやく頭から一気に通読した。収録原稿は名大SF研の機関誌に1984〜87年頃︵つまり著者20〜23歳頃︶に発表されたものが母体だが、この時期の著者が抱いていたのだろうフィクション観や原理は、一冊を通してほぼ一貫しているように感じた。 のちに公開されるサイトの記述などでは、なかなかうかがい知れなかった、同時代の作品を通じてそれを模索する様子はやはり貴重だと思った。 以下、個人的に興味深かった箇所を少しだけご紹介し、思い浮かんだことをまとめてみたい。︵以下、﹃BMS﹄と記述︶2この本の中で、著者はさまざまなレビューや評論を通して︿SFとは何か?﹀︿なぜSFを書く/読むのか?﹀という
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