﹁渋谷はもう若者の街じゃない﹂――。このところ、そんな声がやけに頻繁に聞こえてくる。実際、渋谷の街を歩いていても、若者の姿は、あまり目につかない。 筆者は、東京の様々な街のイメージを探るために、さまざまな人々にインタビューを重ねているのだが、今回は、そこから見えてきた渋谷という、︵かつての?︶﹁若者の街﹂の姿を解き明かしたい。果たして、渋谷は本当に﹁オワコン﹂なのか。 ﹁渋谷は、単なる便利な街﹂ 結論を先に述べれば、﹁若者の街﹂という看板は、もはや渋谷には似合わないのかもしれない。アンケートを重ねる中で浮上したのは、﹁渋谷﹂は、今や単なる﹁便利な街﹂程度にしか認識されていないという事実だ。﹁是が非でも行きたい﹂﹁あの場所に行ってみたい﹂といった特別な思い入れを抱かせる魅力は、すっかり色あせてしまったようである。 このような事態に拍車をかけているのが、現在進行中の渋谷の大規模な再開発だ。数年