国産SFの最高峰でしょう。2004年度﹁SFが読みたい!﹂国内篇第1位の、飛浩隆の短編集。テッド・チャンと並び賞されうる才能です。型破りなアイディアとそれをストレートに伝える清新な文章。作品のテーマは様々なんですが、強引に一くくりにするなら美術SFであり芸術SFと言えます。人が何かを美しいと感じる時、その﹁美﹂はどこから生まれてくるのか。美術評論家だけが気にするような話題ですが、これをSFという視点で捌いたとき、誰もが目を瞠るような美しさがたち現れます。一見、ただキレイなだけの文章を並べているかに見えます。しかし美を解き明かすというテーマを考えるとそれは間違いです。全てがその中身と表面において美しさを象っており、それゆえにこそ清冽な感動がありました。以下かるくネタバレ。 デュオ 倒叙ミステリかつ音楽SF。双子の天才ピアニストを殺したその驚くべき方法と理由。この短編集の中で一番好きな作品です
![象られた力 / 飛浩隆 - 誰が得するんだよこの書評](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3bf6438306e1479e75fa775b6c3268d760b9a2d8/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fimages-jp.amazon.com%2Fimages%2FP%2F4150307687.09.MZZZZZZZ.jpg)