冷戦のさなかの1983年9月26日の真夜中、モスクワ近郊のミサイルサイトСелпукнов-15(セルプクノフ-15)で突然アメリカからの核攻撃を示す警報が鳴り響いた。ミサイルはまた一つまた一つと増えていき、最終的に5発の大陸間弾道ミサイル (ICBM) がソビエトに接近しつつある事を示していた。当時のソビエト連邦の地上レーダーシステムは地平線よりも向こうの対象を検知することができなかったため,それを早期警戒システムに利用することはできなかった。あてになるのは衛星から発せられるミサイルの発射警報だけだった。オペレーターは真っ青になって席を立ち本当に反撃すべきかどうかを問うべく、司令官を凝視した。 当時の司令官スタニスラフ・ペトロフ中佐は国家の命運そして全世界の命運を担う決断を迫られた。もし彼が目の前にある赤く明滅している「開始」のボタンを押したら間違いなく第三次世界大戦が始まり、双方の国土
憲法9条の思想水脈 (朝日選書823) 作者: 山室信一出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/06/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (18件) を見る これまでに9条を論じた書は星の数ほどありますが、その思想の源流を奥深く遡ろうとする試みはほとんど見られず、あったとしても、占領下における9条の成立過程の分析や不戦条約の議論辺りまで遡るのがせいぜいだったように思います。 この本で山室信一京都大学教授は、欧州におけるサン・ピエール、ルソー、カント、そして、国内でも幕末・明治を生きた横井小楠、植木枝盛などまで遡って、9条の源流を見出そうとされていますが、極めて画期的な試みといえます。 それは、9条そのものの源流というよりも、むしろ「非戦思想」の足跡をたどったものという感じです。もちろん、そうした「非戦思想」が9条の成立に直ちに結びつくという
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