あらゆる組織に成長できる万能性を有し、再生医療などでの応用が期待される人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製について、低酸素濃度の状態で行えば形成率が上がることを、世界で初めてiPS細胞の作製に成功した山中伸弥・京都大学教授らの研究チームが突き止めた。研究成果は28日発行の米科学誌「セル・ステム・セル」(電子版)に掲載された。 iPS細胞は通常、酸素濃度が約20%の環境で作られるが、研究チームは、濃度を約5%に下げて実験を実施。通常環境に比べ、マウスの細胞では最高約20倍、ヒト細胞では最高約4倍に形成率が上がることがわかった。 研究チームは「細胞形成率を効果的に上げるための一歩になる発見。今後、作製に最適な酸素濃度などを調べていく必要がある」としている。