この迷信を聞いたことがない人は、ほぼいないだろう。学校で初めて聞いた、友人から聞いたという人もいれば、テレビ番組や映画などのメディアを通じて知った人もいる。この迷信は、たいてい、人間の可能性への憧れをかき立てる狙いで使われる。残りの90%を使えたら、僕らにはどれほどのことができるのか? 起源は諸説ある。だが、大半は世論の形成過程で生じているので、おそらく複数の出来事が下敷きになっているのだろう。 ある説では、作家で哲学者のウィリアム・ジェームズの﹃The Energies of Men︵人間のエネルギー︶﹄の一節、﹁人間は手に入る精神的・身体的資源のごく一部しか使っていない﹂が起源ではないかとされている。フランスの自然科学者、ピエール・フルーランスの著作を起源とする向きもある。フルーランスは19世紀後半、脳と神経系がどう働き、協同しているのかを発見したことで知られる。 心理学者、カール・ラ