CIRCUSという雑誌の取材がある。 お題は﹁どうして若者はうまく働くことができないのか?﹂ 一方に引きこもったまま労働しない若者がおり、一方に過労で倒れそうな若者がいる。 いずれも﹁うまく働いている﹂わけではない。 どうしてなのか。 たしかに﹁どうしてなんでしょう﹂と訊きたくなる気もわかる。 お答えしよう。 これは複数のファクターの総合的な効果であるから、単一の原因を探してもダメである。 第一は働く個人の側の問題である。 ﹃下流志向﹄で分析したように、労働を経済合理性の枠内でとらえると、労働者は自分の労働の成果に対して、﹁等価の﹂報酬が、﹁遅滞なく﹂、﹁固有名宛て﹂に給付されることを望む。 学生たちが知っている﹁work﹂の経験はさしあたり受験勉強と就活だけであるが、それはまさに、努力に対する報酬︵成績や合否採否︶が︵成績発表、内定通知の日に︶﹁遅滞なく﹂、努力にふさわしい評価として、固