わたしを置き去りにした新幹線の鼻先が、小さく遠くに引っ張られていって小指の先ほどになり、とうとう見えなくなった。 振り返れば、ちらほらとあったはずの人影は消え、がらんどうのホームの向こう、憎らしいほどに空が青い。 ※この記事は年末年始とくべつ企画﹁新幹線の駅にひとり置き去り﹂の中の一本です。 駅で日向ぼっこしているおじさんに行き先を決めてもらう 東京駅発、新潟行きの新幹線に乗りますと、発表されたのは前日の朝だった。 新潟は雪が降ったらしい。 あわてて予定よりも一つ大きなリュックを選び、長靴を奥底に忍ばせ、ダウンジャケットを新調した。 雪国どんと来い、の気持ちで臨んだのだけど わたしが置き去りにされたのは熊谷市だった。 平らな土地、とにかく暑い夏。 東京駅からたった40分。つくばの我が家よりも近いぞ、埼玉県熊谷市。 まじか〜 ピカピカに磨かれた床は誰に踏まれることもなく、どこからかピーン、ポ
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