前原国土交通大臣が八ッ場ダムの視察に向かった。 これと前後して洪水のように溢れるテレビ報道は、どれもステレオタイプな表層をなでるばかりのもので、﹁ここまで造ったのにもったいない﹂﹁住民の怒りはおさまらない﹂などと繰り返している。私たちが10年にわたってこのダムの問題点と向き合ってきたのは、﹁造ること自体がもったいない﹂﹁住民の意志は踏みにじる﹂旧建設省河川局以来の国の姿勢そのものだった。 政権交代によって危機に陥った国土交通省のダム官僚たちが煽っているデマを何の精査もせずに垂れ流しているテレビ番組を見ていると﹁思考停止社会﹂も極まっていると感じる。まず代表的なデマは﹁工事の7割はすんでいて、あと3割の予算を投入すればダムが出来る﹂というもの。これは4600億円の予算をすでに7割使用したということに過ぎなくて、工事の進捗率とは何の関係もない。嘘だと思ったら、国土交通省河川局に聞いてみるといい