暑さは堪えるが、アートの船旅は気持ちがいい。直島をはじめ、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島といった瀬戸内海の7つの島と高松市街地を舞台に、国内外75組のアーティストが出品した﹁瀬戸内国際芸術祭﹂が開催中だ。人口が減少し、高齢化が進む島々に活力を取り戻そうとする取り組みである。 ﹁あれー? 高松近いねぇ﹂。女木島までもうすぐという船のなかで、子どもが振り返って言った。高松のビルまで歩いていけそうに見える。高松から船で約20分。小豆島まで最長でも約60分。しかしおそらく近いところほど知らない私たち。 連日の仕事で東京を離れるタイミングを失い、8月1日、維新派の犬島公演楽日にようやく出かけた。高松に1泊して女木島、男木島へ行き、9月に出直すことにして帰京。直島と犬島はこれまでにも訪れ、直島の李禹煥美術館開館に合わせて6月に豊島もリサーチしているとはいえ、この芸術祭の網羅的なレポートには少