人工衛星を活用した地震の研究成果の一端として、宇宙航空研究開発機構︵JAXA︶が2006年に打ち上げた衛星﹁だいち﹂による観測データの解析結果などを紹介する。 人工衛星の観測データを使った地震研究の最初の成果は約20年前、英科学誌ネイチャーの表紙を飾った論文だ。米ロサンゼルスから車で2時間ぐらいの砂漠で起きたマグニチュード︵M︶7ほどの地震の解析で、地殻変動の様子を示したカラーのしま模様の画像が有名になった。これがきっかけで、当時国土地理院にいた私も人工衛星を使った地殻変動の解析を始めた。現在、日本を始め、カナダ、ドイツ、イタリアなど様々な国が観測用の人工衛星を打ち上げており、データを世界の研究者に提供している。 日本の﹁だいち﹂をはじめとする衛星から地殻変動を観測するには、搭載した﹁合成開口レーダー︵SAR︶﹂を使う方法が代表的だ。高度約600~800キロ・メートルを飛行する衛星から電波