4月2日、私は都営新宿線に乗車し、営業活動のために小川町へと向かっていた。九段下あたりから、隣の席の男二人連れが大きな声で話し合っていた。 髭面の、長身の40歳くらいの男は言った。﹁3ヶ月も履歴書に空白があるなんて、何考えているんだよ﹂ それを20代後半の男が聞いていた。40男は話し続けた。﹁パートのおばちゃんを20人くらい使ってたんだけど、ろくに使える奴がいない。日本語でコミュニケーションが取れねえんだよ﹂ それから40男は、履歴書に空白期間がある人や職務経歴書に一貫性のない人の悪口、そういった人間をどう採用時に﹁処理する﹂かを話していた。 二人は私が小川町で私と同時に降りていった。20代男の背広の胸元のバッヂには﹁東京電機大学﹂の文字が入っていたから、同校で人事業務を担当している人か、あるいは就職支援の部署の人か。 いずれにせよ、嫌な話を聞いてしまったものだ。人間を扱う人たちが、人間を