﹁A君(仮名)﹂はIT系の専門学校に通うごく普通の青年だった。 どちらかといえばおとなしく、友人も多いほうではなかった。 ﹁A君﹂はかなりヘビーなネットユーザーで、学校に行っている以外の時間はほとんどネットを徘徊していた。 彼が﹁はてなブックマーク﹂を使い始めたのは、約2年前。 典型的なネガティブブックマーカーで、彼のブックマークは﹁これはひどい﹂﹁死ねばいいのに﹂といったタグで埋まっていた。 ﹁A君﹂のコメントは口汚いわりに、切れ味とか小気味よさに欠けていた。 どこかズレていて、読むものに﹁不快感﹂だけを与えるようなタイプ。2ちゃんねらー的価値観をひきずっているのが垣間見えるというのもあって、はてブ界隈ではそのネガティブコメントもスルーされる事が殆どだった。正直言って誰にも注目されていなかった。 それが﹁A君﹂を油断させていたのかもしれない。﹁どうせ誰にも注目されていない﹂という思いが