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コンサート、よかったら一緒に予約しておくよ、と彼女が言うので、ありがたくお願いした。彼女は自分と夫と私、それにもう一人の友だちのチケットを押さえた。 終演後の会場から駅に向かって歩きながら、私は彼女にこっそり訊いてみる。ねえ、どうして私とかも誘ってくれたの。前は旦那さんと二人で行ってたじゃない。彼女は前方に目を遣る。べつの友だちが手振りをまじえて彼女の夫に話しかけながら歩いている。 彼女と彼女の夫は共に社交的とはいえないたちで、いつもふたりでいることを好んでいた。彼らは特別にあつらえた空気に包まれているように見えた。彼らふたりが慎重に配合した、私たちが不用意に吸ってはいけない空気だ。 コリドーって知ってる、と彼女は言った。こり、なに、と私が訊きかえすと、彼女は、水辺なんかで生態系のありかたを観察したことはある、と質問を重ねる。私はおぼつかなくこたえる。えっと、なんか、小さい池とかで、ぐるっ
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