止まれば倒れる、後戻りはできない…単車は私の性格と実によく相通ずる乗り物だ。車を嫌い、﹁原付のみ﹂という希少価値免許を取り、﹁黄色は進め、赤は急げ﹂と言われる土浦ナンバーに囲まれつつ単車歴十数年。1台目は盗難に遭ったが2台目ではついに5万を走破して乗りつぶし、現在はバス通勤ながら気の向いた日には3台目の水冷4サイクルを転がしている。大分のなだらかな山なみを越えて、ちょいと温泉まで、峠の茶屋まで。気軽に乗れて、軒先に停められ、経済的で環境にやさしく︵カブは公称リッター130kmという驚異の燃費を誇るという︶、四季の変化を風で感じられる、原付はエコツーリストに好適の輸送手段だ。︵ただし後ろに彼女を乗せることはできない…︶ しかしこの愛すべき器も、つきあい方を誤れば凶器と化す。ああそれなのに、教習所で四輪免許を取る時に、”単車で死なない乗り方じゅうぶん教わることはない。﹁原付免許﹂に至っては、