以下の原稿は、もともと2019年10月12-13日、東京の成城大学における第70回美学会全国大会のために用意した講演原稿ですが、台風19号のために中止となったため、2020年1月12日に同じく成城大学において発表させていただいたものです。その後、雑誌﹃美学﹄に掲載するという話もあったのですが、字数制限などがあり残念ながら実現しませんでした。美学会の将来ということを意識した内容なので、このまま一般の雑誌原稿としても発表しにくいため、ここで共有したいと考えました。 ︿1﹀﹁歴史の終焉﹂が意味するもの 2010年、中国の北京大学において、第18回国際美学会議が開催されました。その時の大会テーマは﹁美学の多様性︵Diversities of Aesthetics︶﹂というものでした。企画者のひとりであった佐々木健一氏はそこで﹁美学の哲学的役割︵Philosophical Role of Aesth