── 石川さんのことを知ったのは20年ちかく前、まだ大学生のころでした。 石川 ああ、言ってましたね。 ── 当時、男性ファッション誌の ﹃MEN'S NON-NO﹄をよく買ってたんですが 毎号、後ろのほうの見開き2ページで 自分と同い年くらいの﹁石川直樹﹂って人が 写真とエッセイの連載をしてたんです。 石川 やってた、やってた。 たしか﹁星の航路、書物の海﹂みたいなやつ。 ── 自分は、単なるだらけた学生にすぎないのに この、同い年くらいの石川直樹って人は ﹁遠くの国まで出かけて行って 写真を撮って、エッセイまで書いてるのか。 何て、うらやましい!﹂と。 石川 あはは︵笑︶。 ── もちろん﹁すごいな﹂って感情もありつつ、 でも、それより ﹁いいなーこの人、うらやましい!﹂ という気持ちのほうが強かった気がします。 自分の﹁誰でもなさ﹂を棚に上げて。 石川 いやいや。でも、そうですか。