出版社が苦境に立たされている。元経済誌プレジデント編集長で﹃週刊誌がなくなる日﹄の著者である小倉健一氏が、各社の内情を語る――。 ﹁出版流通は、もはや既存構造では事業が成立しない﹂﹁出版流通はもはや既存構造では事業が成立しない。市場の縮小に、トラック運転手の労働時間規制を強化する﹃2024年問題﹄が重なり、本を運ぶ費用を賄えない﹂︵日経新聞5月24日︶――こう話すのは、出版取次大手トーハンの近藤敏貴社長だ。トーハンは、2023年3月期の出版流通事業が4期連続で経常赤字になることが見込まれていて、出版各社に書籍や雑誌の運搬費の値上げを相談するという。 物流業界で、今、大きな問題となっているのが﹁2024年問題﹂だ。ブラック化しているトラックドライバーの労働環境の改善のため、来年︵2024年︶4月から、時間外労働の上限が年間960時間に規制され、月60時間以上の残業をした場合、割増賃金率がアッ