大学入試の過去問題集などで、国語の長文読解問題の一部が掲載されない異例の事態が起きている。評論などを執筆した作家から著作権の許諾が取れていないためだ。教育業界では﹁教育目的﹂という大義名分のもとで無許諾転載が慣例化していたが、著作権保護意識の高まりから、大手予備校や出版社などが相次いで提訴されており、引用を自粛する傾向も目立ち始めている。︵小田博士︶﹁赤本﹂も省略 大学入試の過去問題を集約した世界思想社教学社︵京都市︶の﹁赤本﹂。センター試験の国語の問題集︵平成21年版︶の巻頭には﹁編集の都合上、以下の問題を省略しています。あしからずご了承ください﹂との注釈が記されている。作家3人から利用許可がおりず、9年度、14年度、18年度試験の現代文計3問で、問題文と設問がすべて省略されているのだ。 18年度試験に使われた作家の別役実氏が掲載拒否したのを契機に、以前は掲載を認めていたのに態度を変えた