﹁さみしかったから浮気した﹂みたいな話。今まで︵ふーんそういうものか︶とあまり深く考えたことがなかった。でも急に︵そういうことか!︶と腑に落ちた。 ﹁だって、寂しかったんだもん﹂はまるで被害者のような言い分だから、浮気された側は﹁おれの方が被害者なのに何言ってるんだふざけるな!﹂となるけれど、加害者側の実感としては本当に自分が被害者なのだ。 差し伸べた手を払われるというのは非常に大きな屈辱だ。ハイタッチを無視される場面を思い浮かべればよくわかる。﹁寂しかった﹂はこれが積み重なった状態だ。﹁今度の休みどこそこ行こうよ﹂﹁今夜しようよ﹂といった手の差し伸べに対して、﹁その日予定あるから﹂﹁今日は疲れてるから﹂の一言ですげなく断るというのが例えばそれだ。ここで﹁いやあ、自分が好きで誘っただけのことだから、別に断られたってね﹂と思えるかというとなかなか難しい。﹁なんでこっちばっかり相手に好意を見せ